とある隠れ変態の物語
□最近みんな熱出すなぁ。
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「うんうん。だから保健室行こうね。だっこしてあげるから。……土曜日遊ぶんでしょ?体調崩したままなら、無理だよね」
「ん……あい」
羽恋がこくりと頷いたのを見て、膝の下に腕を差し入れる。
「っ、おんぶじゃないのか」
「うん。ほら、腕を首に回して。行くよ」
よいしょと。
羽恋が腕を回したのを確認してからゆっくりと立ち上がる。
茶髪の癖っ毛が首をくすぐる。体はやっぱり凄く熱くて。
本当につらいのだろう。首をだらりとさせて、涙をぽろぽろ流している。
「っ……、熱い………あついよ……」
今朝は大丈夫そうだったのに……何で。
「つらいね。……熱いね。でも大丈夫。楽になるまでオレがずっとついててあげる。楽になったら沢山キスしようね」
「んっ、する。いっぱいっ……」
そして唐突に。
尚輝が好き、大好きだ……ずっと、オレといて……オレとして……。
多分無意識にそう呟いていたが、その言葉は尚輝に届かないままはかなく消えた。
羽恋の切実な想いは届かないまま……。