薄桜鬼 狂瀾録
□第二章 盲目の暗闇
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暗闇の中、何も見えずただ違う男の声が聞こえた。
そして千鶴ちゃんは急いで私の元へ来てくれる
「僕ひとりで始末しちゃうつもりだったのに、斎藤君…こんな時に限って仕事が速いよね」
暗闇の中その男は恨み言を告げながらも声は楽しそうだった
私はただ肩を震わせる事しか出来ない。
どうしよう、大変な事になってるのかもしれない。
「俺は務めを果たすべく動いたまでだ。…あんたと違って、俺に戦闘狂の気は無い」
「うわ、ひどい言い草だなあ」
まるで僕が戦闘狂みたいだ、とその男は笑う
「…否定はしないのか」
斎藤という男はため息を吐き私達に視線を投げてきた。
暗くて見えないがいつの間にか兄も私の隣にいる
「なんとなくまずいな」
兄はそう呟き私を庇うように抱き締めた
私もまた兄にしがみつく。
「でもさ、あいつらがこの子らを殺しちゃうまで黙って見ていれば僕たちの手間も省けたのかな?」
どうやら私達は追い込まれているらしい。
何も出来ずただ目を閉じて彼らの話を耳にしながら身の危機を感じた。
殺されてしまうかもしれない。
「さあな、…少なくともその判断は俺たちが下すべきものではない。」
「なんだ、助けてくれたわけじゃねえのかよ。」
兄はそう小さく呟き薄く笑った
そして兄が離れたと同時に背後にもう一人の男の気配がした