恋戦 狂い咲
□第五章 夢
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…――
『…ん、』
朝日の光が窓から差し込み重たい瞼を持ち上げた。
…なんて清々しい朝なんだろうか。
いつもなら政宗さんがドタドタと起こしにくるのに。
…嗚呼、そうか。僕は確か昨日西軍に来たんだっけ…
西軍に来た事をすっかり忘れていた僕は欠伸を噛み殺し体を起こした。
それにしても信長さんが怪しい僕を置いてくれるだなんて奇跡に近い。
これは楽しまなくちゃ損だよね。
布団を綺麗に畳んだ僕は足軽に部屋の外へと出た。
その瞬間、侍女に声を掛けられる。
「あの…、朝餉を用意致しました。」
『朝餉?』
居候の僕に朝餉を用意してくれるなんて、ほんっと信長さんは人がいいなぁ。
……毒が入ってなかったら、の話だけどね。
僕を試しているつもりだろうか、それともただ単に殺したいだけ。
いや…殺すなら斬るよね。
僕は朝餉から漂う微かな毒の香りに目を細めて笑った。