混合-夢&CP-

□腐れ縁
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「で、何でホラー映画見る展開になってんだよ」
「いいじゃねーか!どうせ暇なんだしよ」
「帰れよ」

洗い物が終わり席に戻ると、カルディアはDVDデッキをいじり、物騒なパッケージが特徴的なDVDがいれられた。

「何だよ。入れていいっつったろ!」
「まさかクリスマスにホラー映画見せられると思うか!?」
「ばーか。クリスマスだからに決まってんだろ!サンタの服は何で赤いか知らねーのか?」
「知らねーだろ」
「それは…血しぶきの赤だ!!」
「サンタに謝れ」

一連の流れが終わるとカルディアは雰囲気を出すためにリビングの電気を落とした。

「あ。あと、今日は帰らねぇから」
「…おい。泊まる気か?」
「だめぇ?」
「俺明日普通に仕事だぞ」
「俺は休みだからだいじょーぶ!」
「黙れ」
「じゃあつけるぞー」
「聞け」

どこまでも自由な奴だな。
薄暗い中、時計に目を凝らし見ると時刻は21時を差していた。

「(このアホなら一人でほっといてもいいか)風呂でも入るか」
「おまっ!今から映画見るって言ってんだろ!」
「一人で見とけ」
「ふーん…ラクサス、もしかして怖いのか?」
「…あぁ?」
「いいぜ別に。怖いなら仕方ねぇもんな〜」
「ハァ?テメェと一緒にしてんじゃねぇよ」
「持ってきた本人が怖いわけねぇだろ!怖くねぇならここに座って見てみろよ!べ・つ・に、怖いならいいんだけどな〜」
「じゃあそこまで言うなら見てやろうじゃねぇか」
「よし、じゃあつけんぞ」

そう言ってカルディアはリモコンの再生ボタンを押した。

どうせこいつのことだ。
いつものように拷問中心の暴力シーンフル活用のスプラッター映画に決まってる。

そう思い込んで、俺は映画を見た――。




〜鑑賞後〜



――エンドロールが流れているにも構わず、カルディアはためらいなくDVDを出し、パッケージの上に置いて電気をつけた。

「そんなに怖くもなかったな。ま、B級ならこんなもんだろ」
「…そーだな」
「つかありきたりなんだよ。やっぱ俺は日本のホラーより外国のホラーの方が俺は好みだな」
「そうか」
「ん、もう23時か」
「も、もう、そんな時間が…」
「…ラクサス」
「なんだ?」
「…怖かったのか?」
「ばっ!!んなわけねぇだろ!」

「「……」」

「…じゃあこっち向いて!俺の顔見て言って見やがれ!!」
「うぜぇ!顔近づけるな!気色悪い!」
「誰の顔が気色悪いだぁ!?怖くて泣いちゃったからって俺に当たんじゃねぇよ!」
「怖くもなかったし泣いてもねぇよ」

らしくもなく荒立ててはいるが、怖くなかったのは本当だ。

ただ映画の内容が、呪い、幽霊、オカルトの集合体のようなホラー映画だったから少し驚いただけだ。
本当に少し驚いただけ、

プルルルルル

「「うわっ!!」」

電話のコール音が鳴り響く部屋の中、俺達は沈黙のまま互いに顔を見合わせた。

「ははは、何だよラクサス、うわぁって」
「なかったことにしてんじゃねぇぞ。俺より先に叫んどいて」
「ハァ?そっちが先だったろ!」
「お前の耳は飾りか?このリンゴ中毒」
「音楽ばっか聴いてる万年ヘッドホンよりマシだっつうの」
「そんなにいつもしてねぇよ。映画中は外してたろ」
「つかそれより電話早く出ろ!」

カルディアに言われ忘れかけていた電話へと急いで手を伸ばした。

「もしもし」
『もしもし。ラクサスか?』

電話からは聞き覚えのある奴の声が聞こえた。
途端に妙な安心感が生まれた気がした。

「あぁ。どうした?」
『いや、そちらにカルディアはいないか?』
「おーい。誰からだよ」
「あぁ。なるほど。今代わる」
「…おい。まさか」
「デジェルからだ」

そう言うとカルディアは俺から逃げようと背を向けた。そこをすかさず首根っこを掴んでやった。

すると舌打ちをしてからしぶしぶ電話を耳に当てた。
「今代わりましたー」
『やはりそこにいたか。クリスマスに予定はないと言っていただろ!』
「そうでも言わねーとお前が口うるせーだろうが!」
『別にお前がしっかりしていたなら口うるさくもならないさ。しかしお前はよく薬を忘れる、風邪はよくこじらせる、無茶もする、だから私は事前にいつもいつも』
「だぁぁあ!うるせーな!どこのオカンだよ!!」
『大体お前がだな…』

電話のデジェルの声はカルディアの耳を飛び越えて俺にまで届いている。
カルディアはカルディアでそれに負けないぐらいの大声で張り合っている。
どっちにしろ近所迷惑だ。いや、近所の前に俺が迷惑だ。

口論が佳境に入ろうした時、俺はカルディアから無理矢理電話を奪い、デジェルに話しかける。

「デジェル。このアホは今日預かってやる」
『…ラクサス?』
「時間も時間だからな。取りに来るなら明日にしとけ。迷惑だ」
『…それもそうだな』
「安心しろ。さっき薬は飲んでた」
『…わかった。夜中にわざわざすまない』
「全くだ」
『あとカルディアに、次連絡なしに携帯忘れたら発信機つけてもらうからな。と伝えといてくれ』
「…わかった。じゃあな」

そう言って元に戻し、カルディアの方を向いた。すぐ目をそらされたが。

「たくっ、あんま保護者困らしてんじゃねぇよ」
「保護者じゃねーよ」
「携帯忘れるとか、本当に何歳だ」
「今日はたまたまだっ!ケーキやらDVD用意してたら忘れたんだよ……何か言ってたか?」
「次携帯忘れたら発信機つけるからな。だってよ」
「何だそれ!怖っ!」
「自業自得だろ」

いや、確かにあいつは少々心配性過ぎる点はあるが、それもあいつの良さなんだろう。

「そういやよ。俺泊まってもいいんだよな?」
「仕方なくだ。勘違いするな。来年は夜中でも放り出すからな」
「へいへい。今年のクリスマスは怖くて一人じゃ寝れねぇから仕方ねぇよな〜」
「お前の今日の寝る場所は決まった。あそこで寝とけ」
「庭じゃねーか!?しかも雪積もってるし!!」
「ホワイトクリスマスじゃねぇか。よかったな」
「こんな形でクリスマス過ごしたかねぇよ!おいラクサス!!」



雪が染めるクリスマス。

俺の家には暑苦しい友人が一人。

まぁ、冬には丁度いいか。



-END-





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