流川夢*幼なじみ

□幼なじみ*沖縄編3
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(あ、バルコニーに出たままだった)
うっすらと戻ってきた意識の中ふとそう思った。

しかし、桜の頬には人肌を感じる。
目を開けて見ると、楓の胸が目の前にあり、今朝もまた楓の腕に抱かれている。

(なんでまた…)
今朝はあまり動揺せず冷静に周りを見る。
バスローブのまま寝ている楓の胸
ははだけて、男なのに色っぽい。
(やっぱり、スゴイ筋肉だなあ。)
胸の筋肉、二の腕の筋肉を思わず触る。
すると突然その手が握られる。
「くすぐってぇ。」
桜は楓の顔を見るが、目を閉じて規則正しい呼吸をしている。
(寝ごとかな)
桜はベッドから出て身支度をする。




楓が起きると部屋には桜はいなかった。
(今日何しよう…。)
バスケの練習も出来ず、このホテルの周りは何もなく、車がないと水族館や遊びにいけない。
自分ひとりなら部屋でボーっとしていてもいいが、桜がいるとなるとどこか連れて行った方がいいのでは・・?と悩んでしまう。


桜は部屋に戻るとベッドにボーっと座っている楓に近寄る。

「このホテルの敷地内にバスケ出来る場所があるんだって。朝ごはん食べたらいかない?」

楓はうなずくと
着替える為にベッドから降り、着替えるためにバスローブを脱ぐ。

「わわっ。」
突然、脱ぎ始めたので桜は慌てて楓から離れ背を向けてTVを見る。






二人は朝食を食べ終え、部屋で一休みするとバスケットコートへと向かう。

「良かったね、近くにバスケットコートがあって。」
ホテルの従業員から借りたバスケットボールを両手で持ちながら、桜は笑顔で楓に言う。
「おう。」
そう答えながらも、桜の笑顔に思わず頬を緩める。



楓は考えていた。
この笑顔を独り占めしたい、
他の男にとられたくない。
その願望を叶える為にはどうすればいい?






昼食も食べずに外が薄暗くなるまで、楓はバスケをしていた。
桜は眠気に襲われ、練習の終盤バスケットコートの傍にあるベンチに座り居眠りしていた。


(やべ、もうこんな時間だ。)
薄暗くなってやっと時間に気づく。

幼馴染はベンチで眠っていた。
文句一つ言わないでいつも自分に付き添ってくれる。
楓は桜が自分に気がある事は確信していたが、幼馴染から恋人になるきっかけがみつからずにいた。

(直球でいくか・・。こんな機会滅多にないし。)
そう心に決めると、軽々と桜を抱き上げた。



桜が目を覚ますといつの前にか部屋のベッドに寝かされていた。

シャワーを浴びて丁度出てきた楓がバスローブ姿で桜に近寄ってきた。
「楓が運んでくれたんだよね・ありがとう。」と、お礼を言う。

じっと自分を見る楓に「どうしたの?」と質問した。


「俺は桜が好きだ。」

突然告白され、桜は頭が真っ白になった。


顔から湯気が出そうな程真っ赤な顔で、目を丸くして楓を見る桜に対し、告白した方の楓は涼しい顔をしていた。


「・・・え?なんかの冗談?」

告白した人間がこんな涼しい顔をするわけがない。と桜は考えた。


「いや、かなり本気。」

楓の右手は桜の左頬を撫でる。
ゆでだこみたいになっている顔は、見た目以上に熱かった。

「う・・・。あの・・・。こんな状況だからって。。。流されなくてもいいんだよ。」

親の策略に嵌ってはダメ。と桜も冷静になろうとした。

「流されちゃねぇ。この状況を利用しているだけだ。」

近づく楓の唇に桜は思わず顔をそむけ、楓の胸を両手で押す。

「楓は幼馴染だもん。ダメだよ。」
なんとか声を振絞って言う。

「幼馴染は恋人になれないのかよ。」
少し強い口調で楓は言う。

「なれるけど・・・。別れたら幼馴染に戻れなくなるよ。」
桜は楓と一緒にいられなくなるのが、怖かった。
幼馴染でも楓の傍にいられればいいと思っていたから、恋人になってもし別れた場合もう幼馴染に戻れない気がして、楓を好きという気持ちをしまいこんでいた。

「俺は幼馴染としてじゃなく、俺の女として俺の傍にいて欲しい。それに、俺はお前を一生手放す気はない。」
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