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□ハローハッピーワールド
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ぎゃあぎゃあバウバウけえけえコロコロ…色々な鳴き声がざわめく森をさ迷い、はや3日。変な鳴き声が止まないから、なまえは歩き続けていた。
寝るのも怖い。
居座るのも怖い。
動くのも怖くて、でもじっとするのが一番怖い。
消去法でなまえに残されていたのは歩く事だけであった。だから歩き続けた。もうだいたいの距離も分からないくらい。
睡眠も摂っていないから、目が下に突っ張って霞み、碌に視界も利かない。なまえは目を擦って、クマができている辺りを強めに揉んだ。

風呂入りてえ。いや、まずはご飯。その前にここを脱出、せねば。
水分という水分が身体中から枯渇している。

1度、木の実が成っているのを見つけたから食べてみたが。
渋すぎるし固すぎる。そのせいで渋みが口の中にいつまでもこびりついて、今でも気持ち悪かった。だがそれでも唯一の食料であったので、噛み締めて食べて、
以来、
何も食べてない。
噛む度に唾液がジュワワ、とわいたのが幸いだったか。
しかしアレは本当に食べ物だったのだろうか?食べて以来、胃の内壁が擦り合わさって敵わない。胃液がじんわりと競り上がってくるのだ。

なんでこんな、忍者食みたいな
物で飢えを満たさないといけないんだろう。

体力とか頑丈さは人一倍であるので大丈夫だけど。
なまえの乾ききった筈の眼がぴりぴりと痛みだす。次に鼻がつんと痛んだ。喉が潤って熱を帯びだす。
いい年こいて泣きそうだ。

ふつふつと涙の粒が浮かび上がり出した時、小さな影がぽつりと落ちた。





「あ、の…………お姉さん……大丈夫………?」



限界だった。



「え…あ…だい…じょう……………、……………………………ぶじゃ、ない、かも……」





ぶち、と堰切れる音を聞きながら、なまえは唸るように泣き出した。
何かが切れる音って、本当にするんだなと、少し思いながら。だいぶ年が下そうな少年に、泣きついた。恥も外聞もあるものか。










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