□青山玲士編
□+1020
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そもそも…あるのかどうかあやしいけど、Jガーディアンズの終業時間は18時だ。
ただいまの時間。
夜の10時。
かれこれ4時間。
私は一人で過ごしている。
(青山さん、今日はくるって言ったのにな――)
私は開かないドアを見つめ、ため息をつく。
「バーカ、バーカ、バーカ」
小さな悪態を付いて、ベッドに寝ころんだ。
『君は子供か…』
ばつの悪そうな青山さんが入ってくる……なぁんて妄想は虚しく流れていった。
私は机の引き出しから電卓とメモを取り出した。
終業時間後、青山さんと一緒にいられる時間を計算する。
終業時間の18時から現在時刻の22時までの4時間。
それが平日の5日間続いて、4時間×5日間。
「これは会いすぎかな…」
彼は凄腕の技術者だ。
定時ちょうどで終わるなんて夢のまた夢だろう。
私は現実的な数字を考える。
平日の月曜〜木曜は0時間が妥当だろう。
金曜日は希望的観測で20〜22時の2時間会うとする。
土曜日もたぶん仕事であろうことを考慮しつつ翌日は休みだということをふまえて、19〜23時の4時間。
日曜日。土曜日の夜から一緒にいたいけど…仕事で疲れてるだろうし、10〜22時の12時間とする。
すると、一週間で18時間一緒にいることができる。
一ヶ月を4週間とみなしたら、18時間×4週で…
「72時間、か…」
多いのか少ないのかわからない数字…
私はその時間を分に直した。
4320分
余計に虚しくなった。
だって、ここ二週間の現実は、月曜〜日曜日…0時間だった。
0時間×60分
当たり前だけど、それは0。
私はメモを置き、ため息を一つついてからベッドに潜り込んだ。