□JG職員編

□レディブラウンを探せ!!
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 千鳥さんのベッドに腰を掛けて、私は悩んでいた。

 私の手には、クリーニング済みの洋服。開けずともわかるそれは…シャーロックの衣装。

「………」

 千鳥さん…これじゃ正体がバレますよ……

 と言うか、もうすっかり職員全員にバレてましたね。

 あ、いや…約一名を除いてだった……

 出入りのクリーニング屋さんに、託されて受け取った千鳥さんの洋服。

 預かった他人の物を、私に渡すなんて…

 Jガーディアンズ内では、千鳥さんと私の関係は知られているけれど…まさか出入り業者さんまで広まっているとは。

 嬉しいような照れくさいような気持ちで、透明の袋に入った洋服を見つめた。

 それにしても、こんな物を堂々とクリーニングに出すとは…

 隠したいんだか、隠すつもりがないんだか…

 私は深くため息を吐いた。すると、吐いた分だけの空気が、私の肺に戻った。

 めいっぱい吸い込んだ空気は、千鳥さんの香りがした。

「…ちょっと癒される、かも……」

 千鳥さん独特の匂い。

 甘いとかシトラス系とかそんな香りじゃないけれど、私にはとても心地よい匂いだった。

 要は好き。

 そう感じるのは遺伝子的に合っている証拠らしく…それはそれで嬉しい事実だった。

 ここ数日、実験やら何やらで忙しそうな千鳥さんと締め切りが重なった私はなかなかゆっくりと会う時間が作られなかった。

 今日もまた実験かなぁ…

 そんなことを思いながら、私はベッドにぽふっと寝転んだ。

 抱きしめたままの洋服を見て、思う。

 これを着たら、千鳥さんに抱きしめられたときのような香りがするかな…?

 クリーニング後なんだからダメ!!
 でも、寂しいし…

 心の中でせめぎ合いながら、出した結論は…

 失礼しまーすと言いながら、袋を破る方だった。

 ピシッとアイロンが聞いたマントにくるまる。

 クリーニング後も微かに残る匂いに心が解れていく…

 ちょっとほっとかれ気味だったけど、ちょっとムッとしてたけど…まあ、いいか。

 私は五感で千鳥さんを感じながら、夢の世界へ誘われていったのだった――
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