□3X編

□祭りの後
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ドリーム設定

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 昼下がりのJガーディアンズ、ブリーフィングルーム。

 デスクに向かいながら、ぶつくさ呟く女がいた。

(よかった…便秘のくだりじゃなかった)

「ええっと…赤木さん、――、神谷さんにも一票ずつで、後はオールキャストっと…」

 リクエストの集計を終えた○○は、その内容をじっくり読んでいた。

「えっ…お、大人な展開か……大丈夫かな…」

 その内容にウブな○○は赤面した。

 そんな真っ赤な顔をした○○の様子を影で見守る怪しいヤツらがいた!

「どや、ウルフ、見えたんか?」
「ん〜、それがさぁ。○○っちの頭が邪魔で見えねぇんだよ」

 狭いブリーフィングルームの天井に犇(ひし)めくむさ苦しい男三人は、何かを盗み見るために必死であった。

「むさ苦しい…一体誰のことでしょうか?」
「ジュテーム、邪魔だっての!ほら、どけよ!」
「ウルフ殿…!そんなに押さないでください。あぁ、そこは…あはんっ!」

 ダークとウルフは変態をさらりと無視をし、ブリーフィングルームを見下ろした。


「ん〜、疲れた〜。ちょっと休憩」

 ぐぐっと背伸びをした○○は立ち上がり、ブリーフィングルームを後にした。

「今がチャンスや!何々…赤木、青山、猿飛、黒峰、千鳥、ゼロ、九楽、神谷、ハートレンジャーオールキャスト……あれへん!ワイらのリクエストがあれへん!!」
「おかしいですねぇ」
「…マジかよ!?」
「全くこちらの乙女は恥ずかしがり屋なのですね。この私との濃厚な愛液の相互交換…ぐべほっ!!」
「気色悪いこというな!ワレがそんなんやからリクエストが入らんかったんちゃうんか!!」
「オレっち、○○っちとのラブラブを夢見てたのに!なんでだよ〜〜!!」

 リクエストに3Xのスの字も出なかった三人は大いに嘆いた。

 一方、その頃――エデン本部で、面倒くさい男がウジウジと悩んでいた。

「せっかく待受も配信されたのに、この人気のなさ……きっと2ndでの私の裏切りが影響しているのでしょうね」

 きらきらと輝くフォトフレームの中に写る、千鳥博士との幸せな2ショットを見ながら、ジェームズは嘆いていた。

「キモッ」
「珊瑚さん、言い過ぎですよ。ボスも色々と思い悩むところがあるようですから」
「ってか、リクエストくらいよくねえ。もし来てもメチャクチャにしてやんよ」
「でも、僕は赤木さんと決着を付けて、○○さんに会いに行きたかったです」
「未練がまし〜。ウザい、緋色」
「2ndではまだライバルとして登場してませんからね。当然の結果だと受け止めていますよ」
「リクエストって、夢的なものを叶えてもらうんでしょ。なら私はもう叶ってんだお。つぐるんとは来世永劫一緒だもん♪」

 恋する珊瑚の危ない笑みが会議室を支配した。

 その同時刻――

「ぶへくしゅん!!」

 職員食堂にて、まったりと休憩をしていた黒峰は、悪寒をキャッチして、お約束通りくしゃみをした。

「大丈夫ですか?」
「…今、悪寒が走った。嫌な予感しかしねえ」

 そう呟くと黒峰はコーヒーを一口啜った。

「ところで…その気持ち悪い人形は何ですか?」

 ○○は黒峰の横にある黒峰にそっくりな人形を指差して、問い掛けた。

「ヤられたいのか?これはあの女対策の黒峰人形だ。長官に頼み込んで作ってもらったんだよ」
「とうとうここにも来ましたもんね。何々?これが取説ですか…?えっと、『この“右どなりのエロロ”は…』……」
「…スルーだ」
「…ぴったりですね」

 あの生き物よりややカエル的軍曹寄りになった名前ながら、黒峰を表したネーミングに○○は一人納得した。

「これを街中に仕掛けとけば、何とか巻けるだろ」
「なるほど」

 昼下がりJガーディアンズ。職員食堂での穏やかな時間は過ぎていった。

 休憩を終えた○○は、再びブリーフィングルームに戻り、リクエスト内容の確認作業に入った。

 だが、そこで集計用紙に異変が起こっていることに気が付いた。

「…あれ?ダーク3票にウルフ3票、ジュテームにも3票入ってる!!えっ?あれ?」

 先ほど集計した時にはなかったリクエストが書き加えられていた。

(まさか…)

 キョロキョロと周りを見回すがすでにその姿はなかった。

(…確かにリクなかったもんなぁ)

「でも、募集期間は終わったしボツ!」

 リクエストで1票も入らなかった3Xを不憫に思いながらも、○○はばっさりと切り捨てたのだった。

 しかし、○○は知らなかった。

 その足元に、

『ゼータに1票』と書かれた紙が落ちていたことを――

【祭りの後】

END
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