彩雲国物語〜極彩色な国で〜
□深遠なる悩み
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「……キミ、そんなに異常な嗜好でもあるのかい?」
真顔で藍楸瑛はそう尋ねた。
「んな訳あるかっ!普通だ普通!…たぶん」
反射的に否定しながら途中から自信なくなりたぶんと付け足した。
なんせ自分は自慢じゃないが、今までそういった面はどちらかといえば疎遠だったのだ。比較対照判断できるはずない。
絳攸はかなり不機嫌だった。
「まあキミのことだから嗜虐嗜好も被虐嗜好もない健全な成人男子のものだろうけどさ」
なら聞くな
じろりと絳攸は目で訴えた。
たまたま帰宅途中に藍楸瑛に冴えない表情だと指摘された絳攸は少しだけついもらしてしまった。
『秀麗に避けられている』と。
自称絳攸の腐れ縁の楸瑛がその発言を見過ごすはずなく結局白状する羽目となり、結果絳攸は不機嫌だった。
「まあまあ、そう睨まないでくれたまえ。何事にも確認は必要だからね」
いけしゃあしゃあと言ってのけながら楸瑛は肩をすくめた。