彩雲国物語〜極彩色な国で〜
□深遠なる悩み
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内心はらわたが煮えくり返りながらも絳攸は楸瑛の言葉を待った。
色事関連のことなら明らかに自分よりは一過言あるだろう。失言したのはしくじったが、この際コイツの見解とやらを聞いてみても悪くない。またとない機会と言えなくもなかった。
…正直なところ追いつめられていた。
楸瑛はそんな絳攸の心の内を正確に汲(く)み取った。
「別に四六時中避けられてるんじゃないんだろ?…なら大丈夫だと私は思うけど」
絳攸が最も恐れているのは新妻秀麗に三行半つきつけられることだろう。それはまずない。
いくら絳攸にどうしようもないほど落ち度があったとしても何も言わず離縁状を叩きつけることはしないだろう。彼女は必ずや何らかの手立てを打つに違いない。
互いにとっての利益を選ぶ道を鋭く見抜く力を楸瑛は高く買っていた。
だがそんな悲惨なことになるはずない。
絳攸のことだ、そこまで嫌われることをするとは考えにくい。
隠れた異常性癖もちょっと考えづらい。そんな知識持ち合わせるくらいなら後宮の女官に手を出してる。
だからこそ心配無用だと楸瑛は断じた。