彩雲国物語〜極彩色な国で〜

□初夜
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腐れ縁の常春頭がやけに真面目くさった顔で
「心配してるんだよ。だから…」
僭越ながら教示してあげようか?とのたまった時、怒りのあまり宮中だということを忘れ
「なんの心配してやがる!!この常春がっっ!」
と大声でわめきちらしてしまっていた。


睨み付けたところで藍楸瑛は一向に動じる様子がないどころか益々面白がり
「……だってキミ初めてだろ?知らないよ?愛想つかされても」
と祝言前日に縁起でもないことを口にした。

「馬鹿馬鹿しい。そんなものうまくいこうがいくまいが関係あるものかっ!」
鼻をならし踵(きびす)を返した俺に背後から
「そうは言うけどね、絳攸。――あんまり下手くそだと物笑いの種になるのが事実なのは知ってるだろう?」
声をかけてきた。反射的に立ち止まったところに更に
「あとね、そっちは後宮だよ?――まぁ本番前に練習するって言うのなら止めないけど」
と余計な一言もかけられた。

ギリリと唇を結んで数拍後
「誰がそんなことするもんかーーーっ!」
宮中の一角にまたしても若手の文官随一の才能と誉れ高い李絳攸の怒鳴り声が響いた。
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