彩雲国物語〜極彩色な国で〜

□いにしえより変わらぬこと
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「……ここはこの解釈じゃないんですか?」
微妙に不満げな様子で秀麗が俺を見た。

「違う」
サクッと切り捨てると秀麗は

「………聞いても、いえ、愚痴ってもいいですか?」
と珍しくどこかなげやりな口調で話しだした。


秀麗の言いたいことはわかっていた。

「――なぜ官吏登用試験に詩表現があるか、か?――くだらない。愚痴ってる暇があるならとっとと過去の試験問題を解け」
ジロッと秀麗を見てから李絳攸は容赦無く切り捨てる。

「………う。はい」
秀麗はおとなしく試験問題集に集中した。


必死に筆を動かす秀麗の姿に絳攸はほんの少しだけ表情を崩す。


一生懸命なその姿を見るのが絳攸はとても好きだったから。

是非にと乞(こ)われて秀麗の勉強を見ているが、飲み込みがはやく意欲的な人間の目覚ましい上達を目の当たりにできるのは望外に楽しかった。

さすがに頻繁にはできなかったが出来るだけ李絳攸は秀麗のために時間を割いた。

かつて自分もたどった試練だからこそ、なんとしても秀麗の支えとなってやりたかった。



―――俺が出来ることなんてその程度しかない。
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