彩雲国物語〜極彩色な国で〜
□忍ぶ思い
1ページ/20ページ
何故、こんなこと言われなければならないのか。
「…お話は以上ですか?ならもういいでしょう?失礼します」
口調は敬語かつ完璧な礼儀作法で静蘭はその場を辞す が、
「そうやってずうっと逃げるだけなんでしょ?汚いわ、男って」
どことなくお嬢様に似た雰囲気のあるこの女に言われると無性に気に障る。
「逃げる?…随分なお言葉ですね」
完璧な穏やかな物腰がにわかに崩れていく。
十三姫はそのわずかな崩れを察知した。
「逃げてるじゃない、いろんなことから。とりあえずは秀麗ちゃんよね」
大事なお嬢様の名前に静蘭は顔をしかめた。
「本当は秀麗ちゃんをモノにしたいんでしょ?」