彩雲国物語〜極彩色な国で〜
□花簪-かんざし-
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鏡にうつされた女人はわたしのはずなのに、なぜ違和感を覚えるんだろう。
手鏡を左に持ち右の指先で紅をさそうとして紅秀麗はその手をとめた。
手鏡をおろすと同時に面を伏せた。
シャラン……
拍子に花簪が小さな音を立てた。
着飾っても意味なんて無いのに、馬鹿みたい。
口にしないかわりに簪を乱暴に抜き取り化粧箱になかば放り投げて秀麗は外の空気を吸いに外へ出た。
その背後に燕青が居たことに秀麗はまったく気づかないで。
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