彩雲国物語〜極彩色な国で〜
□初夜
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「……私、本当に絳攸様と夫婦になるのね」
貴陽紅家の片付かれた自室を見て一抹の淋しさを抱きながら紅秀麗は述懐した。
「……明日にはそうなりますね、お嬢様。―――後悔しておいでですか?」
ちらっとむしろそうあって欲しいと思いながら紅家家人静蘭は尋ねた。
ちなみに明日の祝言に彼は紅家から李家へ秀麗とともにくっついていく。そして本来はそのまま李家家人になる訳だが邵可の家事能力の低さを案じた秀麗たっての願いにより李家から出向という形で紅家に住み込みで仕事をすることになっていた。
籍は李家にあるが日常においてはこれまでと変わらないという立場だ。
正直ほっとしていた。
生真面目かつ誠実な絳攸なら間違っても浮気などして秀麗お嬢様を泣かせることはないだろうから相手としては悪くない。
…悪くは無かったがもろ手あげて賛成という気にもならないのも事実だった。
ただ肝心の秀麗が何より絳攸を慕っている。
お嬢様や旦那様が喜んでるのに自分がどうこう言える立場にはない。
望むのは幸せになって欲しい、ただそれだけだ。