花宵ロマネスク〜面影思ふ宵闇〜
□御褒美
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アンタの白くてやわらかい手が撫でている…。
「そのまま次も頑張ってね」
「―お前、まさかご褒美ってそれだけなのか」
「それだけって。あとは何か…」
手をとめてそのまま右手人差し指を顎のところにあてオレから視線外して考えだす。
困った表情見るの好きなんだよ、先生。とくに今のようにオレのことで考え込むのってタマラナイくらい。アンタの胸のなかはオレのことでいっぱいなんだと思うと余計にね。
「…ホントに鈍いね、先生」
「え?ちょっ、ま、待って」
抱き締めながら背中に手をまわす。耳元でそっと
「先生をオレにくれればいい。ただそれだけだ」
囁いた。
「悪い冗談言わないでよ」