yukinovel
□君に落ちる太陽【グラウンド】
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夕陽に染まる、放課後のグラウンド
見渡せる階段に座って、練習に汗を流す野球部の姿を眺めていた先生。
本当は怖かったのに
なぜかその背中に
「……野球…好きなんですか?」
私の声に振り返りもせず
「………別に。」
声をかけたこと
後悔してると
「……座れよ……ここ。」
自分の隣を
トントンと叩く
距離を取って隣に座ると
「………悪かったな。」
「……え?」
「面倒くせぇなんて、言っちまって……」
夕陽の眩しさに少し目を細めて
「……お前が来て良かったよ…」
私を見つめて
そんなこと言うから……
恥ずかしくて、目を逸らすと
「なに照れてんだ?」
「……照れてません。」
「じゃあ、こっち見ろよ。」
「……み、見れません。」
まるで、2人だけを包み込んで、溶かしてしまいそうなほどの
オレンジの光の中
綺麗な横顔が笑って……
「………惚れんなよ。」