yukinovel
□あの空のように
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見上げるたびに、違う表情を見せる空
似ているようで、同じ色など
二つとして無い
少しずつ移り変わり
気づかないうちに、全く違うものになっている
“人の気持ちも同じようなもんだ”、と
いつか由紀が言っていた
雲が流れて、空の色が変わるように
時が流れれば、人の気持ちも変わっていく
「ケホッ……」
「悪りぃ……煙たかったか?」
「んーん、ちょっと風邪気味……」
「じゃあ、なおさら良くねーな。」
ベッドの横にあるサイドテーブルに置かれた灰皿に
着けたばかりのタバコを押し付ける。
「服着るか?……寒いだろ。」
「………このままでいい。由紀、温かいもん。」
由紀の腕に頭を預け
体を寄せて、肌の感触を確かめる
「………もっと温めてやろうか?」
「どうやって……?」
「………分かってんだろ?」
タバコの味が残る唇が、柔らかく触れる
指先が体の線をなぞっていく
それだけで、熱を帯びてくる体
二人の吐息だけが、静かな部屋の中に漏れていく
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