yukinovel

□あの空のように
2ページ/4ページ










見上げるたびに、違う表情を見せる空





似ているようで、同じ色など
二つとして無い



少しずつ移り変わり
気づかないうちに、全く違うものになっている





“人の気持ちも同じようなもんだ”、と
いつか由紀が言っていた




雲が流れて、空の色が変わるように

時が流れれば、人の気持ちも変わっていく















「ケホッ……」




「悪りぃ……煙たかったか?」





「んーん、ちょっと風邪気味……」




「じゃあ、なおさら良くねーな。」





ベッドの横にあるサイドテーブルに置かれた灰皿に
着けたばかりのタバコを押し付ける。







「服着るか?……寒いだろ。」





「………このままでいい。由紀、温かいもん。」




由紀の腕に頭を預け
体を寄せて、肌の感触を確かめる





「………もっと温めてやろうか?」







「どうやって……?」







「………分かってんだろ?」







タバコの味が残る唇が、柔らかく触れる


指先が体の線をなぞっていく



それだけで、熱を帯びてくる体




二人の吐息だけが、静かな部屋の中に漏れていく









.
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ