べるぜバブ

□喧嘩上等! 1話 幼馴染みは最強ちゃん。
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「よお、ごんべえじゃねえか」



 1話 幼馴染みは最強ちゃん。



「ん?」

ぼけーっと学校のグランドで立っていたら不意に呼ばれたあたしの名前。
振り返ってみると、そこには。

「あ、神崎!」

幼馴染みの神崎一の姿があった。
両脇には連れの夏目と城山の姿も。
二人に挟まれた神崎はちょっとちっちゃく見えて、思わず可愛いなと思ってしまった。

「あ?何笑ってんだ?」
「別にー?」
「ところでごんべえちゃん早いね。
どうしたの?」

いつもは社長出勤じゃん、と言いながら髪をかき上げる夏目。

「あぁ、ちょっと呼び出し喰らってさ」
「……」
「朝石矢魔のグランドに来いって」
「わあ」
「ったく…、朝苦手なんだからせめて夜にしろって感じだな」
「…だ…」
「ん?」
「誰だ?てめぇにケンカ売った奴ァ」
「えー、アイツら」

そう言って神崎たちの後ろ、正門を指差すと、
三人はあたしの指を追いかけるように振り返った。

そこには神崎に負けず劣らずの柄の悪い不良30人ぐらいが、こっちに向かって歩いて来ていた。

「けっこういるけど一人で大丈夫?」

クスクス笑いながら夏目が訊いてきた。

「当ったり前だっつーの」

ニヤッと口元に笑みを浮かべ、腕を伸ばしながら不良に近付いていく。

「あぁ、そうだ」

そう言ってくるっと振り返り、神崎たちと向き合う。

「「?」」

夏目を除く2人の頭の上にクエスチョンマークが浮かぶ。

「邪魔、したら蹴り飛ばすから」
「「お、おう…」」
「アハハハハ」

たじろいだように返事をする神崎と城山に対し、夏目は笑っていた。

「おい、クソ女。
無視ってんじゃねぇよ」
「つーかアンタら誰?」

全然見覚えない不良に絡まれたって嬉しいわけない。

「あ"ぁ?テメェ、昨日のこと覚えてねえのかよ?」
「昨日?」

はて?昨日あたし何したっけ?

――回想開始。

『ハァ〜、暇だなぁ。
神崎は遊んでくれないし、城山も子守りで忙しいだろうし、夏目はバイトだし…』

一人とぼとぼ夜道を歩いてたあたしは、ふと思い出したように、

『そうだ、コンビニに行ってそのまま東条ンとこ行こっかな』

と、行き先をコンビニに決定。

そして、いざコンビニに到着。

でも。

『何だてめーら』

『ヒヒッ、女が一人でうろついてたら危ないぜぇ』
『そうそう、俺たちが一緒に遊んでやるよ』

金髪、ピアス、バイク、バット。
不良の特徴を集めたような男を中心に、コンビニの入り口に9、10人の不良がたむろしていた。

遊んでくれるって言うなら喜んで相手してもらおうか。

『じゃあ、よろしく』

それから約5分。いや、5分以下か。
入り口にたむろしていた不良は一人残らず倒れ伏している。

『遊んでくれるって言ったのに、つまんね』

汚い物でも見るような目で不良たちを見下してから店内に入っていった。

――回想終了。

「あぁ、もしかして昨日の雑魚の仲間か?」
「ザ…ッ?!」
「テンメェ…、ぶっ殺してやる!!」

そして不良たちは堰を切ったように襲いかかってきた。

バットを持っている奴、ナイフを持っている奴、鉄パイプ、素手、など、武器は様々。

オイオイ…。

「そんなもんであたしに勝てると思ってんの?」

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