べるぜバブ

□喧嘩上等! 5話 プールでナンパは付き物
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昔々ある所に、大森ちゃんと谷村ちゃんがいました。

大森ちゃんは売店へ焼きそばを買いに、谷村ちゃんは自販機へジュースを買いに行きました。

そしてあたしは席取りという名のお留守番をしていました。



5話 プールでナンパは付き物



特にすることもなかったから、あたしは二人が戻ってくるまで机に突っ伏して待つことにした。


「(ていうかあの二人、あたしの名前知ってたんだ…)」


あたしは別に東邦神姫ってわけじゃない。
だからあたしのことなんか知らないと思ってた。


流石に同学年だったら知ってたかもしれないけど、二人は一年と二年だからね。

ちょっと、嬉しかったかな。

これからはもっと知名度を上げられるくらい頑張っていこうかな。


突っ伏したままこっそりニヤリと笑っていたら、周りが騒がしくなった。

「いやー、偶然ですねー。
今日は二人きりなんですか?」
「いや、もう一人…」

はて、どっかで聞いたことがある声…。
しかもつい最近…。

むっくりと顔を上げると、そこには、

「あ、フルチン」
「え? あっ、名無しの先輩!!」

更衣室での別れが永遠の別れになっていたフルチンがいた。
あれ、男鹿ちゃんは?

「ブフッ!!」
「きゃっ!
ちょっと古市ッ、きったないじゃない!」

なんとこのフルチン君、あたしを見るなりなぜか鼻血出しやがった。

おま、もうちょっとで大森ちゃんに掛かるとこだったぞ。


「名無しの先輩」
「あ?」
「グッジョブです」

何いい笑顔で親指立ててんだコラ。その親指へし折るぞ。

「でもどうせなら、女王の水着も見たかったな」

女王…? あぁ、邦枝ちゃんのことか。

…え、なにそれキモい!
おいおいフルチン!谷村ちゃんも引いてるぞ!


そういえば、いつも三人一緒なのに今日は一緒じゃないね。


「――姐さんは今、修行中だからね。
遊んでるヒマなんてないのよ」

何かかっこいい!
やっぱ東邦神姫ともなると格が違うね!


「――…修行…?
まさか…、花嫁修業ですか?」

何で修行ってだけで花嫁修業になるの?
じゃあアレか、フルチンの頭ん中じゃド●ゴンボールの人たちはみんな花嫁修業してんのか。

「一から鍛え直すって言ってんのよ。 あんた、めんどくさいわね。
おまけにチームはやめるなんて言い出すし、本当、男鹿との一件があってから踏んだり蹴ったりよ」

男鹿ちゃんとの一件?

…あぁ、あの男鹿ちゃんが邦枝ちゃんの仲間をボコって、でもそれは実は美破って奴が仕組んだ嘘でしたってやつか。


夏目から一応全部聞いたんだけど、色々忘れた!

実際に見てたらもうちょっと覚えてたんだろうけど、あたしその時神崎のお見舞いに行ってたから。

べっ、別にサボりたかったとか、神崎が寝てる間にお見舞いのフルーツ食べてやろうかなとか、そんなこと、全然思ってなかったんだからね!


「――そっちこそ、男鹿は一緒じゃないの?」
「そうそう、あたしもそれ気になった!」
「あぁ、いますよ。
ショック受けてそこら辺で呆けてますけど」

ショック受けてって、あたしがいない間に何があったんだよ。

「あっ、オレ呼んできましょ−か!!」

フルチンが席を立ってあたしたちに背を向けた時、

「その必要はないわ」

大森ちゃんが冷たく言い放った。
そして続ける。

「言っておくけど…、私ら、まだあんた達の事認めてないから。
それだけ伝えときな」


男鹿ちゃん、烈怒帝瑠の人たちに何したの。
すんごい敵対意識持たれてんじゃん。


そのまま去っていくかと思われたフルチン。
なぜか戻ってきて座り直しやがった。

あれ、今の流れ的にお前そこにいちゃダメじゃん。
男鹿ちゃんに伝えに行けよ!

「――…何故座り直すの?」

ほら!大森ちゃんも思わず聞いてるし!

「まぁまぁ」

何がまぁまぁだよ。

「それはまあ置いといて。
楽しくお喋りしましょーよ
「人の話聞いてる!?」
「ちょ、大森ちゃん、落ち着いて…」
「あっ、かき氷とか食いたくないスか?」
「……」

フルチンって、男鹿ちゃんといると影薄くて分かんなかったけど、案外マイペースな奴なんだね。





















「よう、古市じゃねーか。久し振りだな」












あたしたちがフルチンのマイペースっぷりに呆れていたら、彼の背後から四人の男が現れた。

「相変わらず女連れか。
オレらにも紹介しろよ」
「ヒヒッ」

見るからに不良みたいな奴らだな。

「フルチン、誰だよこいつら」
「知り合い?」

あたしと大森ちゃんが男たちにガン飛ばしながら聞いた。

「いや、中学の頃の先パイで…」
「おいおい、何だそりゃ。
もっとあんだろ、好感度上がる紹介が」

どう紹介しても好感度なんて上がるわけないと思うんだけど。


「ひひっ、気をつけた方がいいよー。
こいつ根っからのたらしだから」
「そうそう。
君達の事、エロい目でしか見てねーからね」
「―まぁ、でも安心しな。
こいつ、オレ達には頭上がんねーから」

そう言いながら、リーダーっぽい男の左手が大森ちゃんの、右手があたしの肩に添えられる。

















「おい」
















あたしの右肩に触れていた手を捻じり上げて立ち上がる。






「何軽々しく他人の体触ってんだよ?
誰が触っていいっつった?あぁ?」






「なっ、何だてめいでででっ」


「あたしの体触ったからには金、払ってもらうぞ」

「こっ、このアマ…!」


男の左手が飛んでくる。



その時。









バシャッ!











横から水が飛んできた。
返り血ならぬ返り水が掛からないように、男の手を離して一歩下がる。



空気が固まったような気がした。




「――…てめぇ、何のつもりだ?」


あら、水がぶっ掛かってちょっとはいい男になったんじゃないの?




「いやー、アツイっすねー、先パイ」




***あとがき***

なんとか高島さん出すとこまでいけた!

高島さん何気に好きです。

ていうか、古市に腹くすぐられて涙出して笑う高島さんに萌えたのは私だけじゃないはず←

ここまで読んで下さりありがとうございました!

24.12.10

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