ALLOUT!!

□短編 物に嫉妬なんて馬鹿げてるけど
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清々しい朝。
変わらない通学路。

私はいつものように学校へ向かっていた。


「あ、おっおはーっらの!!」


そこで見慣れた背中を見つけた私は、その背中に向かって突撃する。



「痛っ、……また君か…」


それまでいじってたスマホから目を離してちらりとこっちを見る幼馴染の大原野越吾。



と思ったらもう視線はスマホの画面へ。




「(むっ…)ねぇ大原野ー、何やってるのー?」


ぐいっと大原野の左肩を掴み、スマホの画面を見ようと体重をかける。





「ちょっ、やめてくれるっ?!」



いつものむかつくぐらいに落ち着いた声じゃなく、焦りが滲んだような声。


右手で私の手を払いのけ、2、3歩前に歩いて私と距離を取る。


「あっ…」


「君さぁ、もう高校生なんだから、もっと常識ってものを考えた方がいいと思うんだけど」




呆れたとでも言いたそうな顔で冷たく言い放つ大原野。


「…だって…」

「だっても何も、人のスマホ覗き見るなんてあり得ないでしょ」





そんなこと分かってる…。

言われなくたって分かってるのに。


言い返す言葉が見つからなくてただ黙って俯いた。



「…名無しのさぁ、変わったよね」

「え…?」


「昔はこんな風にちょっかい出してこなかったでしょ」



…確かに昔はもっとスマートなやり取りができていた気がする。


こんな感じになったのっていつからだっけ…。

記憶を遡ってみる。



小学校卒業までは普通だった…。

中学校…中学……あれ…?











「もしかしてさぁ、僕がスマホばっかいじってるからこんなことしてるの?」



急に聞こえてきた大原野の声に一瞬で現実に戻された。

目の前にはにやりと笑った意地の悪そうな顔。




「スマホ……」




そうだ…、中学校に入学したお祝いに買ってもらったってドヤ顔で自慢された気がする。


確かその頃から、大原野は遊びに対して消極的になっていったんだ。




「え?なに、図星?」


眉間に皺を寄せて小声で呟く大原野。


顔に熱が集まっていくのが分かった。



「ばっ、ばっかにしないでよ!!
何で私がスマホに嫉妬するわけ?!」


意味分かんないんですけど!?




羞恥心を誤魔化すために大声で喚いた。



「いや…、そこまで言ってないし…」

「うるさぁぁあああいッ!!」



ダンッと足を踏み出して、ビシッと大原野に人差し指を向ける。




「指差さないでくれる?」

「とにかく!!
私は!あんたの!スマホになんか!絶対ッ!嫉妬なんてしてないんだから!!」



大声で言いたいことだけ言った後、私はその場から一目散に逃げ出した。




「あっ、ちょっ」


後ろの方で大原野が何か言ってる気がするけど気にしない。

一秒でも早くあの場から立ち去りたかった。
















「ゼェ…ゼェ……ゼェ…ッ」





体力の限界ギリギリまで走った。


ここまで来ればすぐにはあいつも来れないだろう。





ついさっき自分が喚いていた内容を思い出す。


「…ばっかじゃないの…」



カァァ…と顔がまた熱くなる。






「物に嫉妬してるなんて…ばっかじゃないの…!」



何でこの私があいつのスマホに嫉妬しなきゃいけないの?








「あ゛ーもーッ!!」



両手で顔を覆って空を見上げた。


指と指の隙間から光が漏れてくる。
















「ほんと私ってば…馬鹿……」
















物に嫉妬なんて馬鹿げてるけど、私は至って真面目です。




***あとがき***

ALLOUT!!いいですよね(3巻読みながら

ガチムチいるし不良いるしなよっとした子もいるし…。

もっとAO!!クラスタ増えましょう!?

そして私に江文をください!!!!!!!!!

祇江ください!!!!!!!石江でもいいのでください!!!!!!!!!!



ここまで読んで下さり、ありがとうございました!
26.04.29

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