△重婚不可▼

□ちっちゃくなっちゃった〜クダリ編〜
1ページ/15ページ

“悲劇は突然 訪れる”

なんて言うが、尤もだ

そして“二度ある事は三度ある”

なんて物騒な言葉があるが

それも尤もだとサキトは痛感していた


先日

ノボリの体が10分の1程に小さくなるという、何とも奇妙な事件が起きた

苦節あったものの、事態は収束し
無事に元の体に戻れたノボリ


それから1週間が経過し、その新たな事件が起こる

帰宅を告げたインターホンに
パタパタとスリッパを鳴らし、ノボリとクダリを出迎えるサキト


まずドアを開けた先に立つ、ノボリの腕の中に目がいった

そこにはクダリとそっくりな小さな男の子が抱えられていたのだ

思考停止するサキトに、ノボリは ハッキリこう告げた


「ほら、お母さんですよ」


バタン、と倒れたサキトにノボリは目を見開く





【ちっちゃくなっちゃった〜クダリ編〜】





「だから言ったではありませんか!」

「だってこんな事になったらドッキリしたくなるじゃん!」


ポイッと小さな男の子を放り、慌ててサキトを横抱きするノボリ

クダリにそっくりなその男の子は、紛れもなくクダリだった


「あぁ、サキト様!
しっかりして下さいまし!」

「現実逃避は良くないよ!」

「貴方は黙っていなさい!」

「ぶ〜」


ソファにサキトを横たえさせ、ノボリは狼狽しながらその頬に手を添える

いつの日かと重なって、心配でならない

クダリといえばサキトの足元にちょこんと座っていた


「お気を確かに、サキト様」

「お腹 空いたー」

『―…寝かせて下さい
私、疲れてるみたいなんです
きっと起きたら全て元通り
普通の生活が戻ってくる筈―』

「訳を聞いて下さいまし」

「ねぇ、お腹空いたー」

『普通の生活を私に下さい』


ごちゃごちゃだ

3人の意見がまるで異なる

大人なノボリは一呼吸置くと、全ての事を潤滑に進めるべく
迅速に行動を開始した

 
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ