△重婚不可▼

□全国図鑑No.???
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「[叩く]でしょ、[往復ビンタ]でしょ
それに[睨み付ける]」
「[引っ掻く]に[怒り]も覚えております」


こんにちは!

僕、新しくライモンのバトルサブウェイに就職した
カズマサっていいます!

自分で言うのもなんだけど、ちょっとだけ地図や地理に弱くて…
迷子になりながら、漸く職場に辿り着いて

ギアステーションとバトルサブウェイのボス
ノボリさんとクダリさんに挨拶を、と思ったんだけど…

2人は何だか深刻な顔で お話し中

ポケモンの事かな?
ちょっと様子を見てみよう!


「ねぇ、[突く]は?
ボクこの前、目やられた」
「ワタクシは[空手チョップ]を受けましたが」


ん?

[叩く]・[往復ビンタ]・[睨み付ける]・[引っ掻く]・[怒り]…
ノーマルタイプのポケモンぽいけど

[突く]と[空手チョップ]を覚えるポケモンっていたっけ?


「[カウンター]も覚えてるよね」
「[跳び蹴り]と[回し蹴り]も、です」


おぉ

格闘タイプのポケモンについて お話し中なんだ

がっつり攻撃型だね

どんなポケモンかな?


「[スカイアッパー]も強力だったなぁ」
「[見破る]や[怖い顔]も習得済みでは」


ここにきて変化技!?

何そのポケモン!?


「[滅びの歌]も覚えてるよね」
「[黒い眼差し]は最早 鉄板かと」

「“黒”っていうか“白”だけどね」
「えぇ、まぁ」


何それ!?

あんなに攻撃型だったのに
そんな変化技 覚えちゃうの!?


「[騙し討ち]と[追い討ち]の威力は半端ないと思う」
「それを言うなら[不意討ち]の威力の方が破壊的でしょう」


おっほぅ…

ノーマル・格闘に次いで悪タイプの技…!?

未知数過ぎるよ…!!


「でも何と言ってもアレだよね」
「えぇ、アレなくして語れません」

「「[絶対零度]」」


一 撃 必 殺 !?

しかも氷タイプ!?

そんな技も覚えちゃうの!?


ぇ、ちょ…待っ…

待てよ

こんな事も分からないようじゃ
バトルサブウェイの鉄道員にはなれないかもしれない…!

考えろ、僕!

この条件に当てはまるポケモンはどれだ!?


「絶対、氷タイプだよね」
「しかし鋼の防御力を保持しています」


いないよっ!

氷・鋼タイプのポケモンなんて
僕 今まで見た事ないよっ!!

新種!?

新種なの!?


「確かに暑苦しいの嫌いだもんね」
「熱血タイプはまさに弱点でしょう」


いるの!?

氷・鋼タイプいるの!?


「でも悪っぽい感じもするなぁ…」
「足技の得意な格闘タイプのようでもありますね」


ズルッグ!?
ズルズキン!?

でも[跳び蹴り]も[回し蹴り]も[スカイアッパー]も
2匹は覚えられないよ!?


それに氷・鋼タイプが分からない…

もしかして1匹じゃないの!?

複数のポケモンの事を言ってるの!?

そう考えれば絞られて―…


「特性は[お見通し]かな?」
「意外と[不器用]な面もございますね」


夢 特 性 で す か !?

そんな組み合わせは夢特性ですか!?


「やっぱ[マイペース]かなぁ」
「[負けん気]な気も致しますが…」


そんなに沢山の特性を持つポケモンなんていないよぅ!

やっぱり複数のポケモンなのかな…


「いや、でも[ムラッ気]な気もする」
「[型破り]な面も多々ございます」


待って!待って!待って!待って!

もう頭の中がぐちゃぐちゃです!


「ここだけの話、[天の邪鬼]だよね」
「[変わり者]という事ですか」


全ッッッッッ然 想像出来ない!!

何!?

正解は何!?

もう降参!!


「あのっ!」

「ん?誰?」
「初めて見る顔ですね」


うっわ

口角と服の色 以外 瓜二つだぁ


「僕、カズマサっていいます!
今日からこちらでお世話になります!」

「あぁ、初日からサボった子」
「それから1ヶ月 音信不通だった方ですね」


だって…
道に迷っちゃったんだもん…

1ヶ月も迷子になるなんて
僕だって思いもしなかったさ


「あの、その件はすみませんでした…
1つお伺いしたいんですけど
先程からお二人で話されてるポケモンって
一体 何なんですか?」

「「………」」


あれ、止まっちゃった

怖いよ!

無言のニヤけ顔と仏頂面 怖いよ!!


「あ、あのぉ…」

「何かまた おかしな子が入ったね」
「どうしてこうも奇怪な方ばかり集まるのでしょう」


何!?

内緒話 何!?


「もしもし…?」

「こっちも病むよね
転職 考えようかなぁ」
「自由が欲しいですね
人並みで構わないので」

「あのぅ…」

「ネットしに行こ、ノボリ」
「途中でニコ動に走ってはいけませんよ、クダリ」
「はぁい」
「ではワタクシ達はこれで」

「えっ!?正解は!?」


カツカツと靴音を鳴らしながら、白と黒の車掌が背を向ける

慌ててコートの端を掴むも、軽々と振り払われちゃった

僕の頭も心も、ぐちゃぐちゃのまま

でも2人のボスの冷たい眼差しと空気に
同じ事はもう聞けそうにないや…

誰か答えを教えて!!





「あの子、ポケモンと勘違いしてたね」
「ポケモンであれば、もうとっくに捕獲しておりますが」

「マスターボールで一発だね」
「いえ、ここはゴージャスボールで思う存分
たっぷりじっくりどっぷり懐かせましょう」


「「その後は勿論―…」


おぞましい空気に、ブルリと背筋を震わせる鉄道員達

それでも平然と業務をこなす先輩鉄道員に
カズマサは尊敬の念を抱いた

話の主役が ある1人の女性であるとは露知らず

方向音痴の新人 鉄道員カズマサの
迷走 新生活が始まるのでした

 
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