△重婚不可▼

□法を知れ!
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『なっ…何でいるんですか!?』


心臓を鷲掴みにされたような気分だった

真っ暗な部屋で直立したまま、何をしていたのだろう

そもそも何故、この部屋にいるのか

どうやって入った?

いや、そんな事よりイッシュからジョウトへどうやって来た?

仕事は?

サブウェイは?


「サキト、サキト!
久し振り!元気だった?」

「サキト様、あぁ、サキト様
どんなにお会いしたかった事か…!」

『いやいやいやいや…
質問に答えなさい、この不法侵入者共
何故ジョウトに来て、よりによってこの部屋にいるんですか』


相も変わらず、仏頂面なノボリに
張り付けたような笑みを浮かべるクダリ

道化師のような風貌に、何処か異質な雰囲気は
以前と全く変わっていなかった


ふと、R団だった頃に任務で対峙した時の事を思い出す

アングラという、地下の地下

無法地帯であるそこで繰り広げた、命のやり取り

長い日々を過ごし、漸く解放され
もうこんな地獄は御免だと思っていた

まさかまたあの無限地獄に引き摺り込まれるのだろうか


「サキトに会いたくて来ちゃった」

「決してリニアに乗りたかったからではございません
えぇ、決して」

『乗りたかったんですね』


この電車マニアが

そんな事の為だけに、イッシュからわざわざカントー・ジョウトへ来たのか

なんて暇人なんだ


「それだけじゃないよ、サキト!」

「そうでございます!
ワタクシ共の目的はリニアだけではございません!」


いや、そう言う割にはやけに満足げだが

足元にあるヤマブキ・コガネ限定のリニアサブレの箱は何なんだ


「あのね、ボク達
サキトの事が大好き過ぎて
困ってここまで来たの」

「サキト様が愛し過ぎて
業務に全く身が入りません
これは由々しき問題でございます」

『知るか』


責任転嫁もいい所だ

リニアに乗りたいが為にそんな嘘をほざくとは

いや、要は仕事をしたくないだけなのではないだろうか


「それでね、2人で一生懸命 考えたんだ」

「もうこれ以外に方法はありません」

『嫌ですからね
あんな所、絶対に戻りませんからね』


嫌だ

絶対に絶対に嫌だ

あんな目に遭うなど、もう絶っっっ対に嫌だ


「「お嫁に来て(下さいまし)!!」」

『………』

 
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