△重婚不可▼
□ちっちゃくなっちゃった〜ノボリ編〜
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「あぁ、サキト様
どうかお気を確かに!」
『ん…』
ペチペチと頬に小さな感触を感じ、サキトは瞼を上げる
目の前にはノボリが心配そうな顔をしていた
だが全身が見える
横になっているサキトが、長身のノボリの全身を見られる状況など、“普通”は難しい
でも見えるのだ
小さなノボリが自分の目前にいる、と
目が、脳が、そう捉えている
『すみません、ノボリさん
私かなり疲れているみたいで
ノボリさんがお人形サイズに見えるんです
仮眠とったら治ると思うので
もう暫く寝かせて下さい』
そう、再び瞼を閉じる
が、ノボリは10分の1になったその小さな手で
必死にサキトの頬を揺らした
「夢でも幻でもありません!
ワタクシ、小さくなってしまいました!
このままでは仕事に行けません!
起きて下さいまし、サキト様!」
『!』
どうやら幻覚ではないらしい
仕事に行けない、という
何とも現実味のある言葉に、サキトはガバッと起きた
三度、目にするノボリ
やはり小さい
昔よく遊んだ、リ○ちゃん人形のようなサイズだ
「サキト様…」
いつもポーカーフェイスなノボリが、不安げに自分を見上げている
しっかりしなければ
こんな状態になり、本人が一番 困惑している事だろう
現実逃避などしている場合ではない
だが困った
何故こんな事になってしまったのだろう?