漆黒の月、緑の未確認生物

□居候
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しばらくしてから互いに離れ、一護は改めて頭を下げた。


「よろしくお願いします…」


秋もニッコリと笑い、「こちらこそ」と言った。

秋はそのあと、こう付け加えた。


「あと、敬語じゃなくていいわよ。私たちは家族なんだから家族に対して敬語なんて、嫌じゃない?それに一護くんはあまり敬語を使わなさそうだし」


一護は苦笑を浮かべると頷いた。
夏美と冬樹は一護と握手をした。
ケロロは敬礼している。

その時、一護は虚の霊圧を感じ取り、窓へと直行した。


「ちょっと、虚が出現したから行ってくる!!」


一護はそう言い残すと人間とは思えない脚力で屋根の上に乗り、そこからは一瞬で姿を消した。
それを見ていた夏美達はその場で呆然と立ちすくんでいた。














そして、しばらくすると一護が帰ってきた。オカルト好きな冬樹は目をキラキラ輝かせて一護に問い詰めた。


「一護さんのその力は何ですか!?僕、ものすごく興味が湧きました!!」


なんて事を顔で表せているようだった。


「今は、肉体…つまり普通の人間の体だからな…さっき、人間離れした動きをしただろ?それは俺の能力を駆使したんだ」


夏美はクエスチョンマークを浮かべていた。


「その能力って…?」


一護は軽く笑みをこぼすと二人に向かって言った。


「俺の能力は《完現術》(フルブリング)。物質に宿る魂を使役させる能力だ。簡単なものに例えるならな…同じボールで何度も練習すると、なんか使いやすいって感じるときがあるだろ?それは使い手が、ボールの魂を理解したからだ。この能力…《完現術》はそれを爆発的に発揮させたものなんだ」


スポーツが好きな夏美は何となく理解したようだが、運動オンチな冬樹にとってはあまり解らなかったようだ。
そんな冬樹に一護はこう付け加えた。

「これはスポーツだけじゃなく、全ての事に言えるんだ。筆記具や、機械だってそうだ…」


こう補足すれば冬樹も分かったようだ。


こうして、一護は日向家の家族の一員として迎えられた。
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