シークレット・プリンセス
□聖ルノアール学院
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お母さんの葬儀から一週間後、私は聖ルノアール学院へ転校、手続きはお父さんが全てやってくれてたみたい。
「ハノン・ミヤマ・リリアンナ・アリア・フィルフィア・プリンセス・オブ・リステニアです。よろしくお願いします」
私の編入した聖ルノアール学院には、一般生徒に小馬鹿にされ、距離を置かれているクラスがある。それがS組、ちなみに、私もS組。
一般生徒達が小馬鹿にして距離を置かれているのは、まぁあれです。
この学校はプライドが高いお坊ちゃん、お嬢様の集まりな訳で、特にA組はエリート集団の集まりらしく、S組はプライドの高いお坊ちゃん、お嬢様達にとっては貧乏集団の集まりでいじめるには最適らしい。
…で一般生徒はA組には逆らえないし、何も知らない、実はS組はエリート集団のA組より遥かに凄い集団の集まりなんだって分からないのだ。
S組はVIPクラスの人達の集まりで、家の事情で身分の明かせない生徒が集まった秘密の花園だ…とお父さんが言っていた。ちなみにお父さんも卒業生で、S組にいたんだって。
S組の校舎は離れにあって、作りはかなり豪華。食事もやっぱりVIP対応、セキュリティーもかなり万全、一般生徒は立ち入り禁止ゾーン。
A組の生徒達はエリート意識が強いからS組の待遇が許せないらしいの。
あぁ…ようは嫉妬みたい…
「プリンセス・ハノンは最近までどういう生活をされてましたの?私は半年前に自分が麻生財閥の跡取りと知らされて…」
「僕の父は現総理大臣の…」
皆確かにVIPクラス、だけどかなり訳ありさん達ばかり。
「つい最近まで、私はごく普通の生活をしてました。3歳の頃まではリステニア公国にいたのですが、父の即位をきっかけに国が乱れてしまって、母のふるさとである日本に、母と2人で避難していたんです」
これは本当、お父さんが後から教えてくれた。
「まぁ、それは大変」
「プリンセス・ハノン安心したまえ私達も似たような生い立ちだ」
「仲良くしましょう」
皆良い人たちばかり、なんだかやっていけそうな気がした。
お父さんが聖ルノアール学院に編入させたのは…私が嫌な思いをさせないためもあるだろうけれど、それ以前にS組の生徒達がとっても良い人達だって知ってたのかな?
「あ…あの、皆さんのおかげで不安が吹っ飛びました。こんな私ですが、改めてよろしくお願いします」
S組の皆に暖かい拍手で迎えられた。