封印された初恋〈カカイル〉

□桜封印された初恋四章
2ページ/4ページ

イルカが感じられた印
象を火影は目を閉じ黙
って聞いていた。



「イルカらしいのう・・

うさん臭いあやつの姿
に惑わされず、真っ直
ぐにその人間の本質を
掴む。

イルカの才能じゃな!

特に孤独を抱える者に
は、鼻がきくと見える
カカシの誤魔化しも、
イルカには形無しじゃ
て。


火影は我が子を褒める
ようにイルカを褒めた。

「イルカ・・

お前の感じたカカシは
間違いではない。

カカシは嘘つきじゃか
らな他人に本当の姿は
見せん。


いや・・、
見せたくないのじゃ。


いつも飄々と誤魔化し
あのうさん臭い姿で煙
にまく、

あやつの事が本当に掴
める奴など、

もうこの世にはおらん
のじゃ・・・」


淡々と話す火影の言葉
を真剣に聞いていた。


「辛いですね…
そんな生き方・・・


たとえ忍でも、」


「それでも、
わしは、今のカカシに
安心しておる。


今のカカシは、
人だからのう、


四代目の亡くした頃の
あやつは、
まるで人形のようじゃ
った。


優秀だった事がかえっ
て仇になってのう、


幼いうちから、暗部で
より過酷な任務ばかり
付きたがった。


まるで死場所を探すよ
うにな・・、


見ていて不憫でならんかった。


じゃがな、
いつの頃からか、
何かがカカシを変えた。

何があったのかは、
知らんが、人間らしく
安定してきたのでな、


多少捻くれて扱うのが
大変じゃが、わしは
安心できた。


カカシはカカシなりに
悲しい過去と対峙した
結果なのだろう。


あの通りのうさん臭い
男に出来上がったのも、まあ、仕方あるまいよ。


カカシも、
もう少し他人に甘える
事が出来れば、


より人間味も出るのじ
ゃがのう・・・。


嫁でも持つ気にやれば
安心も出来るのじゃが。

そこまで望むのは、
わしの欲かもしれんな・・


イルカ、

お主は、浮いた話は無
いのか?

嫁をもらう気なら、
わしが良い縁談を用意
するぞ。」


「ほっ!火影さま!

わ、私に話しを振ら
ないで下さい!


カカシ先生の話しを
しているんです!


それに私は女性うけ悪
いので・・、
ほっといて下さい。」


「そんな事あるまいよ♪

イルカは良い子じゃから

その気があれば、わし
が良い見合の相手でも
紹介してやるぞ。」


「結構です!

自分で探します。


火影さまに紹介なんて
されたら有無を言わせ
ず結婚じゃないですか、


私は両親のように恋愛
結婚が夢なので、

お気遣いなくお願いし
ます。」



「残念・・。

イルカくらいは、
わしが面倒みたかった
のにのう…」



「お気持ちだけ、
受け取ります。


ありがとうごさいます」



「まあ良い、

イルカも、
カカシも、
幸せなら良い。


あの時代を乗越えて
生きる者達は、

強き者たちじゃ、

カカシもイルカな・・



カカシにも、
イルカのよいに前むき
に誰かを望む欲ぐらい
夢があれば、

幸せになれると思うの
だが・・。


カカシは任務しかやっ
て来なかったからのう〜

失う痛みばかりで、
大事な人間を作ること
に臆病じゃ。


この話はカカシには
内緒だぞ。

イルカだから話しをし
たのだからな」


火影さまは優しく言っ
た。


「分かっております
火影さま。


けして、
他言は致しません。


お話頂いて、ありがと
うごさいます」


イルカも笑顔で頭を下
げた。


「話を聞いて改めて
強い方だと思いました。

そして、
あの笑顔の理由も少し
分ったような気がしま
す。


私には想像もつかない
過酷な日々を過ごして
来られた事でしょう


おこがましいですが、
カカシ先生の力になれ
たらと思います。


私などに出来る事など
無いかも知れませんが
…、

カカシ先生のお力にな
れればと思います。」


再度イルカは、真剣な
顔で深々と頭を下げた。



「余り無理をするでな
いぞ。

カカシは問題児だから
のう・・・」


「大丈夫です。

私が出来る事なんて、
たかが知れてますよ。


ただ、私が願うのは
カカシ先生がもう少し
幸せに笑ってくれたら
嬉しいです。


その笑顔を私自身が、


見たいだけですから。」


イルカは笑顔で答えた。


火影もイルカの真っ直
ぐなイルカの瞳に安心
してエールを送る。


「イルカは、本当に
優しい優秀な教師だか
らのう、

カカシにも良いかもし
れんなぁ〜。


ナルト達のように可愛
くはないがな」



と、火影さまは声をた
てて笑った。






それから直ぐに他の方
々が書類を抱えて入っ
て来て忙しく仕事が始
まった。



割り当ての仕事も半数
が終わった頃、


カカシの受け持つ七班
が任務を受けに入って
来た。



ドアから入って来るカ
カシを見て、イルカの
鼓動がドクリと高鳴る。


火影さまからの話を聞
いたせいなのか、


相変わらず背中を丸め
て、ダルそうに歩いて
来る事すら、カカシの
フェイク〈嘘〉に見え
て胸が熱く痛んだ。


三代目の読み上げた依
頼内容に、ナルトが
ブーブーと文句をつけ
ている。


カカシは、ナルトの
様子を困った顔をして
苦笑いしていた。



カカシを助けたいと
イルカがナルトを叱り
付けた。



「ばか野郎!

ナルト。


お前は、まだまだペー
ペーの新米だろうが!


誰でも最初は簡単な任
務から場数を踏んで上
がって行くんだ。

ナルト、文句を言うな」


「だって、
だってばょう!


この間から、
ずぅーとしょぼい任務
ばっかりだってばょ。」


まだ、駄々をこねる
ナルトにカカシの拳骨
が振り下ろされた。


「いい加減にしなさい
コラ。


駄々こねるのは、
お子様みたいで恥ずか
しいでしょ」


カカシの拳骨をイルカ
は嬉しく思った。

自分も随分、ナルトに
拳骨をしたが、

憎いと思って振り下ろ
した事はない。


ナルトは、理不尽な
暴力を数々受けてきた


同じ拳骨でも、愛情の
こもった拳は暖かい。


ナルトを叱るカカシか
らは、子供達への愛情
が確かに感じられた。


カカシに叱られても、
まだゴネているナルト
に、火影さまが任務の
大事さを話したが、
ナルトは聞いちゃいな
い。


カカシは、また苦笑い
をして頭を掻いて謝っ
た。


ナルトは、

「もう悪戯小僧じゃない、

忍者だってばょう」


火影さまに明るく宣言
しているナルトと、
困った顔で笑うカカシ、

呆れた顔のさくらと
サスケ。


少しづつ成長する
ナルト達と、それを暖
かく導く大人〈カカシ〉
がいてくれる。


なんとも暖かい空気が
部屋に流れる。


これから進む子供達と
カカシに幸せな未来の
光がさしているようで、

イルカは嬉しくて
小さく微笑んだ。







『 カカシ先生、



あなたは、
優しい人です。




みんなで幸せな未来を
作りましょう。
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ