封印された初恋〈カカイル〉

□桜封印された初恋五章
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七班の任務は、
予定の日にちよりかなり
過ぎて任務終了となった。



中々帰って来ないカカシ
達をイルカも心配もし
たが、

今日帰る。
と式が知らせてきた。



だだの警護任務が、
霧隠れの抜け忍も巻込
んだ、ランクの高いモノ
になり、


負傷もあって帰還が遅く
なった。




負傷と聞いたときは、
心臓が止まるくらい
驚いたが、

火影さまから、
子供達もカカシ先生も
無事だったと聞いて、
心もち安心した。




今回の任務は、
カカシ先生だから、
子供達が無事だったの
だろう。


普通に下忍達のこなせる
ランクの任務ではなかっ
た。


非常事態は、ある事では
有るが、


今回の報告では、
チーム全滅、

もしくは死亡者が出ても
おかしくない事例だ。



カカシ先生だから、
全員無事だったのだろう、



イルカは改めて、
強くて凄く頼もしい
カカシを好きになった。




紅先生から、

自分がカカシに恋をして
いると自覚させられて、
一時は、絶望して、
どうしょうかとも悩んだ。



そのことで、
自問自答してみたが、

自分がカカシのことを
好きな事には変えようが
ない。


片思いだったとして、
叶わないからと言って、
嫌いになれる訳もなく、

しかし、告白するなど
おこがましい事は出来
ない。


自分に出来ることは、


静かに自分の中だけで
心寄せることだけだった。


カカシ先生には迷惑だろ
うが、


どうせ叶わぬ高嶺の花。

こんな思いも自分だけ
ではないのだろうと、

カカシ先生に思いを寄せ
ている女性も男性も
数々居るのだろうと
想像して、


知り合いになれた自分は
なんて幸運なのだろうと、

凄く小さな前向志向に
もなった。



片思いだったとしても、
前と同じように少しだけ
でもカカシと関わってい
たい。


イルカが、今、唯一、
願うのはそれだけだ。



出発前、イルカとカカシ
先生とアスマ先生の噂は、

時間とともに忘れられて、

今さら話題になることは
なくなった。


嫌われるかも・・

と心配したけど・・
大丈夫そうで、


カカシ先生だって、
もう忘れたかも、

なんて、
都合の良いことを考えて
もいた。



今度カカシ先生に会った
ら、さり気なく普通に
話しかけて、

今回のご無事と子供達を
守ってもらったお礼をす
るんだ!




早くカカシ先生とナルト
達の無事な姿が見たい。



イルカは、
不安と緊張しながらも、
カカシ七班の帰りを
心待ちにしていた。














浮足立つ落着かない気分
を抱えながらも、

やる事は山済みで、

イルカは、書類を抱えて
と忙しく仕事をしている


そんなイルカを同僚の
赤城が呼び止める。



「イルカ!

7班帰って来たぞ。


心配してただろ、

顔見てこいよ。」



「あっ!

本当か、
早かったな!



じゃあ、ちょっとだけ、
頼む♪

顔だけ見たら
すぐ戻るから。」



「おおっ、

任せろ♪」





イルカは、ドキドキしな
がら、受け付けに向って
急いだ。




受け付けの部屋の前で
待っていると、

扉が開き、ナルト達の
元気な声とともにカカシ
の銀髪が見えた。


心臓が高鳴るり、
緊張が走る。



カカシ先生・・、



「あっ!♪


イルカ先生だ♪♪」



ナルトの声にサスケも
サクラも反応して、

嬉しそうにイルカに集ま
ってくれる。



「無事で良かった!

大変だったな、
みんな。」



「俺ってば、
大活躍だったんだってばよ」


「ウスラトンカチ、

その倍のドジ踏んだだろ」



「うるせえなぁ、

男が細いこと言うと
セコイてばよ」



「ナルト、いい加減にし
なさいよ。

イルカ先生と話も出来な
いじゃない。」



「ハハハ、

お前達は、相変わらず
だなぁ。


でも三人とも、
任務は、力を合わせて
頑張ったんだろ。」


笑顔でナルトとサスケ
の頭をなでる。


「でも、先生!

本当、
大変だったんだから、

死んじゃうかと思ったわ。

怖かったんだから・・」


サクラが思い出すことす
ら嫌なのか、顔を歪めた。



「そうか、

下忍の任務には厳しい
任務だったと火影さま
から聞いた。

本当、無事でなにより
だったなぁ。


カカシ先生のお陰だなぁ、
良かった。」



カカシは、子供達の後ろ
に一歩離れ立っている。

カカシ先生に目線を向
けると、



一瞬、目線が合ったが、
カカシは小さく会釈を
しただけで直ぐに目線
を外してしまった。



やっぱり、
よそよそしい・・・



ズキリと胸が痛む。



イルカは勇気を振絞り
カカシに一歩近付き話
かけた。



「カカシ先生、
ご苦労様でした。

負傷をされたそうですが、
大丈夫ですか?


無事ご帰還なによりです。

子供達もカカシ先生の
お陰で無事に任務を終
えて里に戻れました。



ありがとうごさいます。」



精一杯、
明るくお礼を言った。



カカシは微かに目線を
動かしたが、

ほとんどイルカを見る
ことなく小さく声で呟く。


「イルカ先生、

ご心配をかけましたか、


大丈夫です。

子供達の事は私に任せて、
お気遣いなく。



下忍ですが、忍者ですか
ら、任務は危険な事もあ
ります。



いちいち心配していたら
切りがないですよ。」



小さな声で淡々と話す
カカシは、

とても暗い疲れた顔を
して、

やっぱりイルカを拒絶
していた。


カカシの言葉がイルカに
刺さる。



「すいません・・

無事な姿を・・・
見たかっただけ・・
ですから・・、



気を悪くなさったなら、
謝ります。


すいませんでした。」



「謝らないで下さい。


別にイルカ先生は、

悪く無いでしょう・・



子供達が心配ならいくら
でも心配していただいて
構いません・・


私の事は、気にしないで
下さい。


では、

私は、お先に失礼します」



背を向けて歩き出そうと
したカカシを引き止めた
くて、


よそよそしいカカシが
悲しくて、


反射的にイルカはカカシ
の腕を掴もうとした。



「カカシ先生、!」




パシッ!




カカシの腕に触れる瞬間、

軽い音立てて、

カカシがイルカの手を
払い打った。


カカシの一つの瞳が
見開かれ、

イルカを驚きの表情で
見ている!


打たれたイルカも驚いて
伸ばした手をそのままに
カカシを凝視した!



カカシとイルカの瞳が
見つめ合った。



一瞬の視線の交わり、


二人の瞳が、

熱い慕情と恐怖が浮かぶ
よいに見えたのは気のせ
いだろうか・・・。


氷つく二人の沈黙は、
長い時間に感じられたが、


多分、ほんの一瞬・・、




カカシが先に言葉を
発した。




「すいません・・、


大丈夫ですか?


俺に・・
触れないで下さい・・。


汚いですから。


では、失礼します。」


少し皮肉な笑いを浮かべ
て呟いた。



カカシの脳裏に、

今回の任務で、少年の胸
を貫いた感触が腕に蘇る。



今さら、少年一人を殺め
た事に嫌悪感を感じるな
んて自分が笑えた。



自分の手なんて、
血まみれで・・

赤子から老人まで
数えられないほど、


殺して来たのに・・・



今さら何を恐怖すると
言うのだ・・・



殺める事に、後悔も懺悔
も持っていない。



自分は忍であって、

里の繁栄と安定のため、
命ずるままに敵を排除
する事が仕事。


ハクと言う少年が、
ザブザを守るため
死んだように、



カカシも大事な人間を
守るため血まみれにな
ってきた。


自分のするべき役割
として、





それでも・・、


イルカを見ていると、


少年の生暖かい血液が
弱い鼓動を伝えながら、
命が消える感触が、
腕に絡み付いて、

寒気が走る。




先ほどイルカがナルト達
の頭を撫でていた。


暖かい手・・


眩しい光景・・



優しい暖かい手のひら
が子供達の髪を滑る指先、
凄く羨ましくて、

自分にもあんな風に、
触れて欲しい・・


触れてみたいと・・


まだ自分は考えてしまう。


この血まみれ手で・・、


子供達まで、羨む
諦めの悪い自分自身が、

なんて汚い大人なのだろ
うと、
呆れて嫌悪感がました。


八当たりのように、
イルカにもかなり冷たい
言い方をしてしまった。



心配して、わざわざ来て
くれたのに・・。



顔が見れて困るけど、

嬉しかった。



悲しい顔をさしてしまっ
た・・・。


イルカには笑って欲しい
のに・・


やるせなさに、逃げる
よいに話を切り上げた。




歩き出したとき、


まさか、イルカがカカシ
腕を掴もうとするとは
考えていなかったから、


身体が反射的に動いて
イルカの手を拒絶してし
まった。


思ったことは、


汚い!



自分にイルカのあの手が
触れることが、

イルカを
汚してしまう・・・




イルカの手は、キラキラ
とした、未来の子供達に
相応しいモノで、


少年を殺め欲望に塗れる
自分には、

関わってはいけないと


あの日、

桜の中で誓いを立てた
ではないか・・、



それでも、決意の揺れ

動揺する自分が、
なんて情けない弱い奴な
のだろうと、

更に怒りが沸く。


手を打たれ、
呆然と固まるイルカが
可哀相で、


悲しそうにするのが
耐えられなくて


抱締めて
しまいそうで・・・


動揺する自分を抑える
ために、
強く拳を握り締めていた。


自分が何をするか分から
なくて、


頭が真っ白だ・・。


言い訳だけ言って、

足早にイルカから離れた。
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