この屋根の下

□暮らし始めた2人は?
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・ミルクティーモーニング




朝、一番に起きたオレは、ダイニングのテーブルで、開いた雑誌に顔を伏せて眠っている姫川を見つけた。

仕事から帰って風呂に入ったあと、そのままここで眠ってしまったようだ。

寒くなかったのか。


起きとけばよかったな。


「姫川ー」


声をかけてみるが、起きない。


「ったく……」


オレはキッチンに向かい、ポットに水を入れてガスコンロでお湯を沸かす。

その間に、棚からカップを2つとティーバックを取り出し、ティーバッグをカップに入れ、沸騰したポットのお湯を淹れた。


「んん…」


姫川の声が聞こえた。

紅茶の香りがしたのか、起きたようだ。


オレのカップだけ砂糖を多めに淹れ、ミルクを淹れて、姫川のと一緒に持っていく。


「起きた?」

「うん…」


眠そうに目を擦っている。

声もぼんやりだ。


「はははっ、なんだその顔」

「?」


姫川の額に雑誌のあとがついて、少し赤くなっていた。

ぼんやり顔だから余計に笑える。


「……………;」


姫川は傍にあった手鏡で自分の額を見つめ、顔をしかめて手のひらで擦り、オレに手を差し出した。


「ちょうだい」


カップを受け取って口をつけ、「あちち」と飲んだのを見て、オレはまた笑って、向かいの席に座って自分の分を飲んだ。

まったりした味が口の中に広がって、ほっとする。


先に姫川が飲み終わって、席から立ち上がった。


「ごちそうさま」


そこでふとなにかを思い出したかのように「あ」と小さく声を上げると、オレに近付いてきて、


「おはよー」


満面の笑みで言って、オレの額にキスした。

驚いてカップから手を放してしまう。


「あぶねっ」


すぐに姫川が落下しかけたカップを受け止めた。


「ま…、まだ寝ボケてるだろ…っ」


目を逸らして言うと、姫川はニヤリと笑みを浮かべた。


「美味いミルクティーのおかげで、少し覚めた。…今日は休日だし、久々にのんびりしようぜ、神崎」


オレのミルクティーは砂糖小さじ3杯。


なら、こいつの砂糖は大さじ何杯だろうか。





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