リクエスト

□つまりはこれも愛ゆえに。
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2週間ぶりの会って、姫川の部屋で言われた一言。


「しゃぶれ」


ソファーに腰掛けた姫川にドヤ顔でそう言われ、神崎は無表情でしばし沈黙したあと、背を向け、ベランダの窓を開けて涼しい風に当たった。


「ふぅ…。姫川、もう一度言ってくれるか?」

「しゃぶれ」

「…「喋れ」…じゃないんだな?」

「ああ。…なに? 主語つけた方がいいのか?」


瞬間、神崎は顔面目掛け飛び蹴りをかまそうとしたが、行動を読んでいた姫川はスタンバトンでそれを防御する。


「姫川さんよぉ…、オレ達付き合ってるわけだし、恋人としてオレは出来るだけてめーに殺意抱かねえように必死なんだよ。毎回努力を水の泡にするのいい加減やめてくれねーか? そろそろ新聞記事になりそうだ」

「正直、オレはそうやって新鮮な反応返してくれるてめーを楽しんでる」

「よしわかった、もう殺すっ」


神崎は姫川に一撃を食らわそうとするが、ことごとくスタンバトンで防がれてしまう。


「付き合ってると思ってんなら、それ相応の御奉仕が必要だと思わねえか?」

「ムードを考えろっ! 2週間も放置された挙句そんなゲス発言されるこっちの身にもなりやがれ!!」

「家の事情じゃ仕方ねえだろ! それに…」


いきなり足首をつかまれ、勝ち誇った顔をする。


「興奮しただろ? 放置プレイ…」


ゴッ!


神崎のコブシが姫川の頬に炸裂した。

その隙に姫川の手から足の自由を取り戻し、目の前の姫川を罵倒する。


「それで喜ぶのはドMだけだっつーのっ!! このド変態っ!!」

「痛っつ…。久々に殴られた…。つーか、オレから見たら神崎も十分ドMだと思うけどな」

「はぁ!?」


顔を真っ赤にする神崎に、姫川は小さく笑いながら近づく。


「抱かれる側を受け入れてる自体そうだろ」

「っ!」


神崎はパンチを繰り出そうとしたが、その前に姫川に手首をつかまれて引き寄せられる。


「ぁ…」


口付けされるかと思いきや、姫川の口は方向を変えて神崎の頬や額、鼻先を舐める。


「く…っ」

「顔ナメただけで興奮してんじゃねーよ」


姫川の左手が神崎の股間を撫でる。

ガラ空きの左手で殴りつければいいのにそうはせず、抵抗も弱い。

股間を握りしめると、ムクムクと膨らんでいるのがわかった。


「すっかりオレに開発されやがって…」


神崎の首を舐めながら姫川は鼻で笑い、軽く神崎を突き飛ばし、その肩にスタンバトンを当てた。


「え?」

「けど、まだ完成まで程遠いな」


バチィッ!


「うああっ!!」


突然のことに反応できず、神崎は電流を流され、その場に両膝と両手をついた。

起き上がろうとしたが、体が痺れてうまく動けない。


ゴッ!


「うぐっ」


足の爪先でアゴを蹴りあげられ、うつ伏せに倒れた。

口内に血の味が広がり、視界が揺らいでいる。


「電流は最弱だ。体、まだ動くだろ?」


神崎の目の前にしゃがんだ姫川は神崎の髪をつかんで引っ張り上げ、顔を見合わせた。


「…口もな」


言いたいことはわかるよな、と口端が吊りあがる。


「……ゲスが…」


それが精いっぱいの抵抗だった。




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