リクエスト
□初めての2回目。
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オレは神崎のいる3−Aに顔を出し、神崎の姿を捜した。
生徒がちらほら。
夏目と城山は神崎の席の傍に立っている。
オレは教室に足を踏み込み、夏目達に近づいた。
「あ、姫ちゃん」
「よぉ、神崎知らねえか?」
「神崎君? さっきまでいたけど…」
夏目は顔に笑顔を貼りつけたまま答える。
オレは城山に顔を向けた。
すると、「知らんぞ」と顔を逸らされた。
嘘がつけない奴でよかった。
明らかになにかを隠している。
オレはしばし怪訝な眼差しを向け、城山が冷や汗をかくのを眺めてから口を開いた。
「…城山…」
オレは息を吸い込み、怒鳴った。
「まわれ!! 右ぃっっ!!」
単純な人間の反射神経は面白い。
はっと城山がくるりとまわると、城山の背中にひっついていた神崎が現れた。
「あっ! バカッ!;」
慌てる神崎に、オレの背後の夏目は噴き出した。
神崎は夏目を睨んだが、怒鳴っているヒマがないというように教室を飛び出す。
オレはすぐにそれを追いかけた。
「待てよ、神崎!」
「ついてくんなっ!」
「だったら逃げるな!!;」
「逃げなかったらてめえに捕まるだろ!!;」
そんなことを言い合い、オレ達は廊下を駆け、階段を駆け上がり、神崎が屋上のドアノブを開ける前に右手首をつかんで捕まえた。
「てめー、思ってることがあんならはっきり言いやがれ! いつもなにも言わずに逃げやがって!」
「別になんとも思ってねえよ! 手ェ放せっ!」
神崎は右腕を振るってオレの手を振り払おうとするが、オレは放さない。
「じゃあ先にオレが思ってること言ってやる! オレはまたてめーとヤりたい!!」
それを聞いた神崎の顔が火をふいたように真っ赤に染まり、目を慌ただしく泳がせた。
「お…、おま、大声でなに言ってんだ!? バカじゃねーの!?」
「ああ。オレも異常だと思った。けど、毎回てめーとのセックス思い出すたびに勃っちまうんだよ! 毎回だぞ!? 逆に開き直るわっ!!」
「開き直んなっ! オレの知ったこっちゃねえんだよっ!! あ、あれは、酔ってただけで…っ。てめーも、「1回だけだ」って…」
「神崎…っ!」
オレは神崎の背中を壁に押し付け、正面から向き合い、自分の唇を相手の唇に強引に押し付けた。
慌ててやったから、歯がぶつかってしまう。
「ん…ッ」
神崎が目をギュッと瞑る。
オレが手を裾の中に差し込むと、その目は再び大きく見開かれた。
「…ッ嫌だっつってんだろっ!!」
「っ!」
まさか本気で突き飛ばされるとは。
オレはその場に尻餅をついてしまい、その隙に神崎は顔を隠すように階段を駆け下りて逃げた。
「嫌だ」。
それがあいつの本心か。
「…フラれたか…」
一目見て逃げられるより辛い。
しばらく立ち上がれなかった。
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