長編置き場

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「ぐえっ」

蛙を踏みつぶしたかのような声が自分の口から発せられる。
自分、こんな声出たんだ、なんて感心してみる。…ち、ちょっと嘘吐きました感心してないです。

「…もうちょい女らしい声上げらんねェのかィ」
「総悟…」

いやいや、今のお前が足引っかけたんだろ、全部お前のせいだろ、とか色々口から飛び出そうになったけど、全部我慢して口を噤む。

「私今から見廻りだから」

何だか居た堪れなくなってきたのでさくっとこれからの予定を伝えて足早に立ち去ろうとする。
けれどそれは叶わなかった。
総悟が腕を引っ張るから。

「何?」
「いや、本当に不細工な顔だなと思いましてねィ」
「…知ってるよ馬鹿」

流石にこれだけ言われれば私だって傷付く。
私のハートは豆腐だけど豆腐だって崩れるんだから!

「も、放して」

力任せに総悟の手を振り解いて走る。

「なまえ…ッ、」

後ろから総悟の声が聞こえるけど総スルー。
知るかあんな奴。顔なんか見ない。見れない。見たくない。
ブーツはちゃんと履かず、門を出る。

「総悟の馬鹿野郎、」



好きなのに。
絶対わかってくれないだろうな。






「あー…」

やっちまった。
いつもいつもちょっかいを掛けてしまう。
なまえを見てるとドS心が擽られるというか。

「…はあ、」

素直になれない自分に嫌気が差す。






好きなのに。







 

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