置き場
□名字
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恋愛禁止令普通に破ってます
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「…あー…」
ふう、と大きく息を吐く。所謂溜息ってやつ。
この溜息の原因は全て私の名字にあった。
「みょうじ?何溜息吐いてんだ?」
ひょこっと顔を窺ってくる翔ちゃん。
…うん、可愛い。
そんな翔ちゃんには理由を教えて差し上げよう、
そんな理由を立ち上げると、私の口は勝手に動いた。
「名字!名字が嫌いなの!」
「はぁ?名字?今更だな」
私の答えを聞いた途端素っ頓狂な声を上げる翔。
いやでもまあ、素っ頓狂な声を上げる理由もわからなくないよ!だっていきなり言い出したんだもんね。
「まあとにかくさー、この名字嫌い!」
「いきなり過ぎてどうつっこめばいいのかわかんねーんだけど」
「えー、あー、ごめん?」
ふう、と溜息を漏らす翔ちゃんに対して一応謝っておく。
「…あー、そうそう、だからね、名字呼びやめてくれませんか」
ついで、みたいな形で言うことになったこの言葉。
…全部この言葉を言う為にいきなりあんなこと言ったんだけどね。
翔ちゃん鈍いし気付いてないだろーなー、なんて。
まあ前々から私は名前呼びなのに翔ちゃんは名字呼びって腑に落ちなかったんだよね。
別に付き合ってるだとかそんなんじゃないけど、翔ちゃん基本皆のこと名前呼びなのに何故か私のことは名字呼び。これって酷いよね!なんだか疎外感感じちゃうよ。
「…翔ちゃん?ねえ翔ちゃん生きてる?」
「……え、あ、あぁ」
ぼーっとしてたみたいで、私が声をかけるとびくっと肩を揺らしてこっちを見た。
「…なまえ、?」
「っへ、」
こてん、と首を傾げて私の名前を呼ぶ翔ちゃん。やばい可愛いこれは言葉で表すことができないくらいどうやったら伝えられるか真剣に思案したけど全然見つけられなくてどうしようあわばばば…、
こんな感じで言葉で表せられないくらい可愛い。伝えられないのが残念。
…といいたいところだがそれ以前に照れながら言うものだからこっちもうつってきてしまって私までなんか暑くなってきた。
「っ…、…な、なんか言えよ」
「ご、ごめん、嬉しくて、その、えっと」
まさか本当に呼ばれるとは思わなくて心の準備整ってなくて。
何だよ冗談だろーみたいな感じで受け流すと思ってた(だからあんなに文が荒れた)。
「…その」
「え?」
「名字、嫌なんだろ?」
「ええ、まあ、」
顔を赤くしながら伺ってくる。
名字が嫌なわけじゃないんだけどなー口実なんだけどなー、なんて頭の片隅に放り投げて、次に翔ちゃんの口から紡がれる言葉を待った。
「嫌なら、名字、来栖にしちまえばいいんじゃねえ、の?」
「は、?」
それって結婚してくださいって意味ですか
「え、今のって何、色々素っ飛ばしたよね」
「う、っせえ!」
まあ結局は両想いってことみたいだし終わりよければすべてよし、だよね。
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あれだ、プロポーズが書きたかったんです
まあ付き合ってもないし色々素っ飛ばしてるんですけどね
つかアニメとか見たけどまだ翔ちゃんはゲームで未攻略だからキャラ掴めない
執筆0120