置き場

□バレンタインデー!
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「はーい、んじゃ持ち物検査しまーっす」

ぼーっとしていた私の耳に入ってきた言葉。
持ち物検査?
なんでこんな時期に、…なんて考えつつも、すぐにハッと我に返った。

「…バレンタインデー、だ」

そうだ、今日は世界各国または全国の乙女が想い人に対して、何時間もかけて作ったチョコレートを想いと共に渡す日だ!(捏造入ってます)
だけどまあ、私は別に持ってきてないし、没収されそうなのは特にないと思うし、大丈夫だ。なんて自答して自分の中で整理をつけた。
が。

「…あ、」

チョコ作ったじゃん、私。
頭を抱えるしかない。どうしよう。

「じゃ、次…、神楽お前酢昆布しか入ってないってどういうことだ」

何時の間にか順番が次になっていた。
もう隠す暇なんかない。

「…と、じゃあ次はみょうじなー」

鞄出せ、鞄。と、机をトントンと叩いて示してくる先生。
私は半ば諦めながら鞄を開いた。

「おー、これ…、…没収するぞー」

先生はチョコの入った箱を開けて、一瞬驚いた様な表情から一転、没収するぞ、と言ったときの顔は笑っていた。

「…〜っ!」

何で、かは明白。
あれは先生に渡すためのチョコだったから。
かあ、と顔に熱が集まっていく。
ふ、と目を伏せようとした瞬間、パコン、という音と微かな痛み。
何だろう、と気になって目線を上げた私。

「…え、」

先生は小さく笑うと次の人の持ち物検査を始めていた。
―なんで微笑んでいたかの真意も掴めず持ち物検査は終わった。
けれど、検査の最後に先生が言った言葉。




「チョコ持ってきてた奴今日の放課後教室集合な」




明らかにこっちを見ていた気がした。






ハッピーレンタイン!

 

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