探偵と怪盗

□始まり
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  ‡ 始まり ‡





「うっそー!!本当に!」

 携帯片手にそう叫んだのは、今だ休学中の高校生探偵がいるB組のクラスメイトの少女、皆川藍香だ。
 突然の叫び声にクラスメイトの面々に一斉に注目される。
 普段の彼女はわりと大人しい少女で、こんな風に大声を上げるタイプではなかった。故にクラスメイト達の驚きは大きい。

 そんな周りの注目も気にならないのか、藍香は携帯の画面を見詰めたまま。

「佳奈ごめん、日曜日の約束キャンセルさせて」
「えーどーして!藍香あんなに楽しみにしてたじゃない!映画最終日なのよ!」

 当然と言えば当然の佳奈の言葉に、藍香は嬉しそうに携帯を胸に抱きしめて、

「本当にごめんね。でも…どうしても行きたいの、江古田の学園祭」
「……江古田?…学園祭って事は……もしかしなくても例の人やっぱり立つんだ!んじゃ仕方ないねー、行っといで」
「はあ?!今話題のLoveロマンスの映画より学園祭!!どーしてー?」

 逆なら解るけど、とそう絶叫したのは、クラス一のお騒がせ娘の園子だった。

「あんなに楽しみにしていた映画より、学園祭だ!なんて、藍香ってそんなに学園祭好きだっけ?」
「あはは、違う違う!藍香は学園祭そのものじゃなくて、マジックショーが目的なのよ」
「はあ〜、マジックショー!?何だってまたド素人の下手くっそなもん好き好んで見たいのよ!」

 思いっ切り飽きれたような園子の様子に、言われた当人である藍香ではなく佳奈がニヤリッ、と人の悪い笑みを浮かべる。

「園子、今の言葉絶対!後悔するわよ!!何せマジックはプロ級だし、何よりも園子の大好きなイケメンなんだから」
「本当に〜〜?」
「ほ・ん・と・に。今話題の注目株、若手イケメンマジシャンの真田一三さんだって目じゃないくらい」

 疑わしそうな園子に佳奈はそう言った。
 その言葉にますます園子は不信気に半眼にし、

「真田さんより〜〜〜?実物はメチャ恰好良かったわよ!」

 と園子は本気にしない。

「園子さぁ、真田さんと工藤くん、どっちの方が恰好良いと思う?」
「は!?なんで?」

 いーから、いーから、と疑問には答えず、佳奈は返事を急かす。

「そりゃ新一くんじゃない。一般的に見て」

 園子は不思議に思いながらも隣にいる蘭と顔を見合わせ、推理バカだけど総合的に見て恰好良いわよね。
 と答え、それが何の関係があるのよ!と園子は佳奈を見る。

「関係大有りよ!!だってその人ってさ、工藤くんと瓜二つなんだもん!!」

 その佳奈の爆弾発言にクラス中騒然とする。中でも園子の絶叫にはクラスメイトの大半が耳を塞いだ。

「あの顔がもう一つ〜〜〜!!!」

 見た目だけ!!は完璧な帝丹高校の誇り、かの高校生探偵に瓜二つ!!俄然興味が湧こうと言うもの。








 改稿、2014.10.01.〜


 ==秋乃==
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