探偵と怪盗

□禁忌 -TABOO-
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‡ 禁忌 ‐TABOO‐ ‡



「―――――――は???」

 雑誌をめくりながら独り言のように言った工藤新一の言葉に黒羽快斗の思考が一瞬停止した。
 快斗がシャワーを借りていた間退屈だったらしく、快斗が持ち込んだ雑誌をパラパラめくっていたようだ。
 ついでに言うと此処は工藤邸で、ちょっとした事件がきっかけで知り合い仲良くなってしまい、誘われるまま泊まりに来た。

「だから―――快斗ならどっち? もし男と寝るとしたら犯る方が良い?犯られる方?」

 ミネラルウォーターを冷蔵庫から拝借し、リビングに戻って来たばかりの快斗は何て答えて良いのか判断付かずにそのまま固まった。
 読んでいた雑誌に【同性愛】に付いて載っていたらしく、新一は快斗の様子にも気付きもせず―――――。

「俺はさ、どっちも御免だけど、まだ犯られる方が良いかも―――」
「―――――えっっ!?」
「だって快斗勃起(たつ)?男相手に。俺は無理だな、考えただけでも気持ち悪いのに。
その点犯られる方ならちょっと我慢してりゃ終わるし」

 犯る方はその気がなきゃ出来ないけど、犯られる方は必ずしもそうとも言い切れないからだ。
 新一としては単純なる興味からの質問だったが、聞かれた快斗の方は堪らない。


 ―――――何でよりによってそんな特集を読んでるんだ!!と叫びたい気分だったが根性で押し止める。


 興味津々と快斗を見上げてくる新一の瞳に他意はない………、が快斗は勝手にドギマギする心臓を持て余す。


 だって快斗は、新一の事を………。


 でも、ずっと秘めて来たのだ、告げてはいけない―――と。


「……快斗??」

 不審そうな新一の声に快斗はハッッ!と現実に引き戻された。

「―――え!?」
「―――え!?じゃなくて、だからどっち? 犯る方?それとも犯られる方?」

 好奇心いっぱいの新一の視線に快斗は半ば脅迫観念にかられる。

「………え…と………、や……犯る方………かな……?」
「ふ〜〜〜ん。何で??」

 理由が聞きたくて、聞きたくてしょうがないと言うような瞳の輝きに快斗は必死に思考を巡らせる。


 ―――――まさか、新一を抱きたい、………だなんて本当の理由を言える筈もなく……。


「………何で……って、………そりゃどっちかと言ったら……ねぇ……。
確かに新一の言うように簡単にその気にはならないだろうけど、男に犯られる……のは…ちょっと……」

 シャワーを浴びたばかりだと言うのに快斗は脂汗をダラダラかきながら、しどろもどろと答えた。

「?どうした?快斗凄い汗だぞ?」

 あくまでも無邪気な新一の問いに、快斗は叫びたい気分でいっぱいだった。


 ―――――誰かっっ!このウルトラ鈍!!をどーーーにかしてくれっっっっーーーー!!!






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