忍夢と僕・2
□僕とシリーズ・サスケ視点・1
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それは、突然のことだった。
「みんな聞け!!新しい仲間を紹介する!!」
担任であるイルカのこの一言で、教室は一気に騒がしくなる。
「(うるせぇ…)」
火影を先頭に教室に入ってきたそいつは、木の葉の里で一度も見かけたことのない女だ。
『狼神柚姫だ。よろしく頼むぞ』
銀髪に紫がかった髪、身長は小さくて、肌色は少し不健康。
「(…って!!違う!!)」
そんなことが言いたいんじゃない。
とにかく、そいつは何かが引っ掛かるような、そんな女だった。
俺の名はうちはサスケ。
クラスでは常に上位の成績をとっている。
ある目的を果たすために、日々修行を怠らず、毎日アカデミーにも通っているが正直なところかなり焦っているのが現状だ。
こんな所でちんたらしている時間はない。
狼神は、うずまきナルトと仲が良いらしい。
見た感じでは前からの知り合いらしく、あの女を見た瞬間にひっくり返ってしまい、涙目になりながら飛びついてしまった。
いつも騒がしい奴だが、こんな事は初めてだ。
ナルトは、騒がしいし、担任のイルカを困らせるときもあるが、目が笑っていない。
ボーッとしているかと思えば、そこにいるナルトが別人に見えたり。
それが、俺の中でのうずまきナルト。
勘にすぎないが、アカデミーにいるうずまきナルトは本当のナルトではない。
関係しているかはわからないが、あいつには常にある噂が付きまとっている。
アカデミーの奴等の視線や、口にすることは胸くそ悪いもので、あいつはそれをずっと無視していた。
ナルトに両親がいないことは、誰から聞いたわけでもなくなぜか知っていた。
俺にも両親はいないが、ナルトみたいに笑っていられない。
だから、最初はあいつが嫌いだった。ヘラヘラしているあいつに、腹がたったし視界にいれるのも嫌だった。
だけど、ナルトのあの姿は偽りなんじゃないかと思い始めてから、いつの間にか、すんなりと受け入れている俺がいたんだ。
経緯は違えど、痛みや孤独を知っている。
俺とは違うが、似ているところがあるのだ。
しかし、ナルトは誰にも素を見せない。今までずっとそうだった。
それなのに、だ。
『(狼神柚姫…、いったい何者なんだ?)』
どうやって素を引き出したのだろう。