忍夢と僕・2

□僕とシリーズ・シカマル視点・1
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蝶「ねぇねぇ、シカマル…」

「ん?」

蝶「見てよ、あれ…」

今でも覚えている、そう古くない記憶。

公園でチョウジと遊んでいた時、目にはいったのは石を投げつけられている金髪の姿。

「(あいつ、なんで避けねぇんだ…?)」

額から血が流れている。

そして、よく見れば服はボロボロで、足の裏はグチャグチャだった。

思わず目を背けたくなるその姿に、恐怖を感じ、金縛りにあったかのように動かなくなった体。

助けたいのに、言うことを聞かねぇ。

そんな時だった。

耳を塞ぎたくなるような怒鳴り声が聞こえてきたのは。

『お前っ!!誰に石を投げてるんだ!!危ないだろう!!』

そいつは、珍しい髪色で、金髪の奴と同じように素足で腕を組み立っていた。

自分よりも明らかに年上相手に、怖がる様子もなく怒鳴り散らしてる。

怒られてる奴は、それに対して言い返すつもりはないらしく、ちゃんと謝っていた。

そして、聞いたことのない言葉を口にしたんだ。

化け狐、と。

「(あの金髪が、化け狐?)」

金髪を見れば、その姿は狐ではなく人間だ。

あぁ、きっとイジメられてるんだろうな、なんて思いながら見ていれば、チョウジが帰ろうって言い始めた。

気がつけば、体は動くようになっていて、空を見上げればもう夕方。

「…ん、帰るか…」

母ちゃんが夕ご飯を作っている頃だ。

金髪を横目に公園を出て、家に向かってゆっくりと歩く。

そしてまた、聞こえてくる大きな声。

『うずまきナルト!!!!』

振り返れば、どうやら金髪も帰ろうとしていたみてぇだ。

「(ナルト、か…)」

化け狐じゃなくて、ナルト。

名前を覚えた俺は、また家に向かって歩き始めた。

それから家について、なんとなく父ちゃんに化け狐の事を聞いてみたけど、お前に少しでも優しい心があるんなら、二度とその言葉を口にするなって言われた。

その時からだ。

暇さえあれば、あの二人を探すようになった。

だけど、どこを探しても見つかんなくて、誰に聞いても無視されるか怒られるかで、その度にめんどくせぇなんて思って。

それでも諦められない自分に、さらに面倒になってきた頃。

お店の人が、お客さんと話している会話のなかに、化け狐って言葉が聞こえてきた。

多分、あいつ等が買い物に来たんだと思う。

次からは何も買わせないなんて言うから、なぜか物凄く腹がたった。
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