忍夢と僕・2

□僕とサイの悲鳴・1
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アカデミーからの帰り、久しぶりにユウと歩く木の葉の道。

時間はまだ、お昼時だ。

『お前は授業についていけているのか?忍術を使えるといっても、基礎的な事はわからないんだろう?』

彩「体で覚えるものだって言われたからね。それに、ほら…僕がアカデミーに通ってるのは……」

『そうだったな…』

僕の、監視。

彩「まぁ、柚姫に会えるから。ほとんどそれが目的だし、あとはどうだっていいかな」

こうやってユウと話すのは、本当に久々だ。

相変わらず、他人には全くと言っていいほど興味がないらしい。

『ったく、交流を持っても罰は当たらんぞ?むしろ、感情を学べると思うんだが…。僕はこんな性格だし、学べることがあったとしても極僅かだろう?』

僕がそう言うのは、ユウが持っている本のせいだ。

片時も離さず、「学ぼう!!人の感情論」と「今日から君も表情マスター」という頼りなさそうな本を持ち歩いている。

確かに、本からは様々な知識を得られるが、人と接することで得る知識とは大きな差があるはず。

なのだが。

彩「柚姫と話していると落ち着くんだ。他はうるさいから嫌いだし、この本なかなか面白いよ?読む?」

とうの本人がこれだから、あまり強く言えない。

『いや、遠慮しておく…』

話ながら歩いていたからか、いつのまにかユウが住んでいるアパートに着いてしまった。

せっかく時間が合ったというのに、これでさよならは寂しすぎる。

『甘いものは好きか?』

彩「食べれないこともないけど?」

『時間があるならでい「行く!!」…まだ何も言ってないぞυ…ここで待ってるから用意してこい。甘味屋に行こう』

彩「うん、すぐ戻ってくるね!!」

返事の早さに驚いたが、ユウの笑顔も見れたことだし良しとしよう。

アパートの前にある木の下に腰を下ろし、日影特有の涼しさを味わう。

青空を見上げていたが、あまりの眩しさに目を背け、地面とにらめっこ。

しばらく下を見ていたら、地面に人影が現れた。

やっと戻ってきたようだ。

『さて、行く……』

しかし、顔を上げ目の前に居たのは、ユウではなく全身黒ずくめの性別不明の人間。

第六感が騒いだ。

『(…こいつは、危険すぎる!!)』

その場から逃げようと急いで立ち上がる。

「…誰が、一人だと言った?」

突然、背後から薬品のようなものを嗅がされ、意識が朦朧とし始めた。

鬼人と羅月を呼ぶことができず、ただ、アパートから目を見開いて僕の名を叫ぶユウを見つめることしかできない。

そして、だんだんと瞼が重くなり、ユウの姿を最後に意識は途絶えた。
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