忍夢と僕・2
□僕とカエルとナメクジ
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あぁ、ここはなんて平和なんだ。
火「…聞いておるか?」
ここがどこかって?
もちろん木の葉に決まっている。
綱「…おい、柚姫!!」
執務室にある窓から木の葉を眺めている僕は、耳に入る雑音を無視していた。
憎ったらしいほど晴天で、羨ましいくらいに遊び回る子ども達。
あ、僕も子どもだったな。
案「柚姫ちゃん、嫌なのはわかるけど…」
あぁ、そうだ。
僕もあの輪の中に入ろう。
歳は若干下のようだが、ここにいるよりはマシだ。
『…と、いうことで!!』
火「逃がすな…υ」
『あだぁ!!おい、死に損ない!!僕は病み上がりだぞ!!監禁されてたんだぞ!!なのに、この扱いはなんだ!!はぁなぁせぇ!!』
今すぐにでもここから出ていきたいというのに。
カカシと綱手は容赦なく押さえつけてくる。
僕がここまで抵抗するのには理由があるのだが。
というのは、卒業試験までの間、綱手と一緒に居ろなんて火影が言い始めたことから始まった。
だが、それはマズイ。
あと4日で卒業試験だが、それまでにイタチが会いに来るはずなのだ。
鬼人に探しに行ってもらおうと考えていたが、綱手がいると鬼人を呼び出せない。
それに、今回の誘拐事件のせいで、ナルトが今まで以上にベッタリになってしまった。
それはもう任務を放棄するほどだ。
頭を悩ませた死に損ないの老いぼれは、綱手と行動させることを条件に出し、やっとナルトを暗部の任務に戻すことができた。
その張本人もこの場にいるのだが、青筋を目立たせるほどご立腹。
空「おい、綱手様と一緒にいろ!!だいたいこの人はこんな事に頷いてくれるような奴じゃないんだからな!!それに、また誘拐されたらどぉすんだ!!」
『そっ、その時はだな!!僕の体術で…こう…ビシッとバシッとだ!!』
空「この馬鹿!!ビシッとバシッと出来なかったから今回みたいな事件が起きたんだろうが!!」
『不意討ちだ!!手も足もでるわけがないだろう!!それから!!綱手に対して敬意を払ってるなら「奴」なんて言葉を使うな!!阿呆!!』
空「そうやって話を誤魔化そうたってそうはいかないからな!!」
『なんで僕の味方をしてくれないんだ!!』
空「当たり前だぁぁあああ!!!!」
窓ガラスが割れるんじゃないかと思わせるほどの怒声に、流石の僕も黙りこんでしまう。
火影もドン引きだ。
そんななか、嫌な空気を換気するかのように執務室の扉が開いた。