忍夢と僕・3
□僕はお面と戦う
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泥「旦那…。そ、そろそろ柚姫の手を離したらどうだ?うん」
蠍「うるせぇ……」
[別にお前がそのままでいたいなら、それでも構わないと思うぞ?…ただ、さっきも言ったが、新メンバーが入るみたいでみんな戻って来てるから…]
泥「旦那は見られてもいいのか?」
蠍「うるせぇ!!」
アジトに戻ってきてからというもの、大人と言う名の大事なネジが外れたかのように、サソリは子どもになってしまった。
只今、駄々をこねている真っ最中だ。
蠍「柚姫が先に手を繋いできたんだ。俺じゃねぇ…」
とは言うものの、サソリの手はグーで、僕の手はパーだ。
つまり、握っているのはサソリだけである。
[まさか、暁にナルト2号がいるとはな…]
ごもっとも。
『僕達が手を繋いでいたら、ペインに怪しまれてしまうぞ?僕としては非常に困るんだが、お前はいいのか?』
そう言ってやれば、大人しく手を離してくれたサソリ。
蠍「…チッ、仕方ねぇ。デイダラ、新人はもう来てるのか?」
泥「来てるぞ、うん」
頷いたデイダラを見てやっと歩き始めたサソリに続き、僕達3人も中へと入っていった。
ぺ「………どこに行っていた?」
薄暗い部屋には、僕と鬼人が来たとき同様、みんな椅子に腰を下ろしている。
『…お前はどこに行っていたんだ?』
ぺ「……まぁ、いい。そこに座れ」
一息入れたあと、ペインは新メンバーを呼んだ。
ぺ「来い、……トビ」
名を聞いて反応したのは鬼人だ。
奥から出てきた人物をジッと睨みつけている。
『(――っ、まさかこいつが…)』
うちはマダラ。
小さく頷いた鬼人は、目で殺す勢いだ。
鳶「初めまして!!トビでっす!!…あれれれれ?そこのお兄さん!!もしかして俺っちのこと睨んでる!?入隊早々のイジメは勘弁してくださいよ!!」
『(……いや、絶対にマダラじゃないだろうυ)』
憶測で判断してはいけない。
それは重々心得ているつもりだ。
しかし、イメージというのがある。
『(妖狐に幻術をかけ、木の葉を襲わせた張本人…。イタチを騙し、木の葉を騙し、うちは一族を滅ぼすきっかけを作った…、こいつが?)』
鳶「やだなぁ!!空気重いっすよ!!みんな笑って笑って!!」
マダラだとバレないように自分を偽っているとして、ここまでする必要があるのだろうか。
あの右目だけ空いている、意味不明なオレンジの仮面で充分なはず。
『(…何かあるな)』
勘だが、そう思った。
そこまでしてキャラを作る理由は、いったいなんなのだろうか。