忍夢と僕・2
□僕とシリーズ・サスケ視点・2
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「……おはよ」
『おはよう、はすけ!!遅かったな!!僕は一番に登校したぞ!!』
あれから、なかなか寝付けなかった俺は、久しぶりに寝坊をした。
別に遅刻するほどではなかったため、ゆっくり歩いてきたのはいいが…。
『…僕の勝ちだな』
「うっさい、このチビ」
『んなっ!?』
体術だけでなく、登校時間でも負けてしまうとは。
鳴「朝から不機嫌だな、サスケ」
「まぁな。眠れなかったんだ」
鳴「今から追跡の演習なのに、大丈夫なのか?」
「……なんとかなるだろ」
万全とは言えないが、追跡なら柚姫に勝てる気がする。
授業が体術じゃなくて良かったと、少しだけ胸を撫で下ろした。
海「よし、全員集まったな。今から追跡の授業を行うが、今回はチームを組まずにやる!!範囲は、ここら一帯全部使うことになるが、いたるところにトラップを仕掛けさせてもらった。分身の俺でも構わないから、捕獲したのちゴールまで来るように!!では、5分後に一斉スタートとする」
そう言い、森の中へと姿を消したイルカは、すぐに見えなくなってしまった。
武器の確認をし軽く準備体操をしながら、無意識に柚姫に目がいってしまう。
「(こいつにだけは負けたくねぇ…)」
柚姫は、俺にとって修行仲間でありライバルだ。
対抗心を燃やしながら、今までの数々の屈辱を思い出す。
『…さて、そろそろ行くか』
鳴「イルカ先生捕まえるのって簡単すぎるんだよね…。今回は柚姫のペースに合わせるよ」
「…絶対に手ぇかすんじゃねぇぞ、ナルト」
『…ふーん、僕に勝つ気でいるな?……寝坊助さん』
「なっ!?チッ、先に行くからな!!」
『あっ!!待て、はすけ!!』
今回勝てる気でいるのは、今までのことを振り返ると、柚姫は絶対に木々を飛躍しないとわかっているからだ。
そうしたほうが確実に速いのに、なぜか地面しか走らない。
となると、ベタなトラップに引っ掛からないように気をつけてさえいれば、後は勝ったも同然なのだ。
後ろを向けば、やはりいつものように走っている。
「(遅いな……)」
少しずつ距離があいていくのにもどかしさを感じ、何度か立ち止まった俺は、柚姫に対して甘い自分に思わず笑いそうになった。
負けたくないと思いながらも、ずっと一緒にいたせいか、隣にナルトと柚姫がいないと落ち着かないのだ。