忍夢と僕・2

□僕と上忍の極秘任務・2
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何か落ちていないか、足跡はないか、争った形跡はないか、見落とさないように隅々まで調べた。

空はもう、明るくなっている。

『これだけ探して、なぜ何も見つからないんだ!!』

ストレスばかりが溜まり、もはや焦りすら隠せない。

そんな僕を見て、羅月は近寄ってきた。

羅《…なにをそんなに苛立つ?…一度顔を合わせ言葉を交わした、それだけの間柄だろう?》

『…そう…だけど。…アスマとガイが死にかけてるのは、僕のせいでもあるから…』

羅《それは違う…。敵を甘く見たからこうなったのだ。一人の犯行なのか、それとも複数なのか。それを知らずと簡単に背を向けたのはあやつ等よ…》

『だとしても、水を汲みにいく案をだしたのは僕だ…』

仲間と思ったことはないが、胸が痛まないわけではない。

羅月の言う通り、複数の犯行である可能性だって考えられるのに、心のどこかで、あの2人は上忍だから大丈夫だろうと思っていた。

だが、それでは隊を組む意味がないじゃないか。

『甘く見ていたのはアスマ達じゃない…』

そう言い、大きなため息をつけば、羅月は僕よりもさらに盛大なため息をついた。

羅《…人間を助ける気はないが、お前が自分を責めるのは見たくない。…球を見せろ》

『構わないが、どうするんだ?』

羅《いいから、球を見せてみろ…》

ポケットにしまっていた金属球を取りだし、それを羅月に見せる。

最初は、匂いを確認していただけだったのだが、やはり嗅覚は回復しきっていないらしい。

羅《…匂いが嗅ぎ分けられん。小さすぎるのもあるが、これではわからんな…》

またため息をついた羅月に、地道に探そうと口にしようとした瞬間。

金属球を食べてしまった。

『らっ、羅月!?何をしている!!吐き出せ!!死にたいのか!?』

バリバリと音をたてながら噛み砕き、なんの躊躇もなくそれを飲み込む。

羅《…安心しろ、我に人間が作ったものなど効かぬ。それ以前に、この世界は我が造り上げたもの。土も木も草も、すべて我の子みたいなものだ…。…ゆえに、毒は効かん…》

『ほっ、本当か?嘘じゃないな!?』

羅《嘘ではない。我が造ったものだと言っているだろう。人間が連れてきた動物には効く毒でも、我や我の仲間には効かん。…中身がわかったぞ。来い、こっちだ…》

そう言って、歩き始めた羅月を急いで追いかけた。

前もって言ってくれればいいのに、性格が悪い。
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