忍夢と僕・2

□僕とシリーズ・カカシ視点・2
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火影様に大量の任務を任されて、半年ほどたった頃。

「…――っ、はぁ…。やっと着いた!!久しぶりだなぁ…」

なかなか任務が遂行できず、ひそかに増援を期待していた俺だったが、誰一人として来てはくれなかった。

罰だということは重々わかってはいるが、さすがに泣きそうになったのは言うまでもない。

そんななか、任務中に拾い物をした。

「にぃに…」

俺の背中におぶられているのは、まだ3歳の男の子だ。

盗賊かなにかに襲われたらしく、両親はこの子を守るように死んでいた。

ほっとくことができず、連れて帰ってきたのだ。

「大丈夫だよ…。ここは安全だから。…って言ってもわからないか」

とりあえず、この子を医療班に診てもらおう。

見た感じ、どこにも怪我はないが、中身まではわからない。

火影邸に向かって一気に走った。

「火影様、任務…終…了……」

扉を開けたはいいが、部屋には誰もいない。

どこかへ出掛けてるのだろうか。

戻ってくるのを待つことにした俺は椅子に腰を下ろした。

やっと一休みできたような感じがする。

「にぃに…」

「なぁに?お腹すいた?」

「とかげしゃま?」

「火影ね、火影…」

そんなもん、見たくないよ俺は。

火影様を待ちながら、今回の数ある任務を思い返した。

背中を守ってくれる仲間もおらず、怪我を負っても、出来ることといえば応急処置だけ。

ナルトはアレを1人でやっているのかと思うと、正直震えが治まらなかった。

しばらくして、執務室に戻ってきた火影様は、男の子を見るなり首を傾げる。

頭を下げ、任務について報告をしようとしたが、それはすぐに止められてしまった。

火「カカシよ、すまないがわしに着いてきてほしい。その子のことは後で聞く」

何やら表情が険しい。何かあったようだ。

「…どうされたのですか?」

火「九尾の封印が外れかけおった…。訳は後で話す。すぐに動けるか?」

「――っ!?御意!!」

九尾と聞いて、胸騒ぎを感じた俺は、受付の者に男の子を預け急いでナルトの元に向かう。

地下牢まで連れてこられたのには驚いたが、それだけ状況は最悪だということだ。

一番奥の部屋だと言われ、そこに向かっている途中運ばれていくナルトとすれ違ったが、言葉をなくしてしまった。

身体中が火傷のようになっているのだ。

火「…ナルトは後じゃ。柚姫を連れて帰ってもらいたい。その後、またわしの所へ。…話したいことがある」

「…わか…りました……」

ナルトを見送り奥の部屋に行くと、呆然と立ち尽くす柚姫が見えてきた。

ナルトのあんな姿を見たのだ。無理はないだろう。

心配する気持ちと裏腹に、また抱きしめたい衝動にかられる。

『…久しぶりの再会で挨拶を交わしたいところだが、その広げている両手を引っ込めてくれないか?今は、一刻も早く帰って寝たいんだ。一応、病み上がりなのでな…』

「…一目見れたことだし、今日は我慢するよ。じゃあ、帰ろっか」

いつものような覇気がなく、怒鳴ることもない。

かなり落ちているようだ。

素直に腕を引っ込めた俺は、特に何もすることなく隣に立った。

「…大丈夫だよ、ナルトは。まっ、火影様も着いているし心配ないでしょ」

『…そうだな』

無表情で答える柚姫を見て余計に心配になったが、いつまでも地下牢に居るわけにもいかない。

すぐにナルトの家に送り届け、俺はまた火影邸へと戻った。
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