忍夢と僕・2

□僕とならまるのお使い奮戦記
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鹿「はぁっ……はぁ……、ついたな。ってか、人多すぎんだよυ」

卵売り場を見れば、すでに主婦の方々で混雑している。

『んなっ…』

その光景に、背筋が凍りついた。

『殺気で溢れかえっているな…。どうやって卵を取れと言うのだ…』

鹿「…あの中にいるほとんどが忍だからなυめんどくせぇけど、一筋縄じゃいかねぇよ…」

19時まであと少し。

僕とシカマルは、主婦の間をすり抜け卵の近くまで行く。

そこでは、後ろからでは決して見えないであろう女の戦いが繰り広げられていた。

『(…戦場だな、ここはυ)』

足を踏みつけあったり、横腹を殴ったりと、卵のために体を張っている女達。

小さくてよかった。

「大変お待たせいたしました!!只今から、お一人様1パック限定、値引き対象卵セールを行います!!尚、割れてしまってもこちらでは一切の責任をおいかねることと、忍具や忍術の使用は控えるようお願い申し上げます!!」

時計を見ると、残り30秒を切っていた。

店長と思われる男は、急いで店の奥へと避難する。

『…ならまる、僕かお前どちらか一人は必ず取ろう。ヨシノさんのためにも、僕達も命かけるぞ!!』

鹿「大袈裟だ、ばぁかυ」

ジリジリと足は前へ進み、しばらくその場は静寂に包まれていた。

『(…ヨシノさんのために、ヨシノさんのために、ヨシノさんのために、ヨシノさんのために!!)』

心臓の音がやけに響いて聞こえてくる。

僕は、ごくんと唾を飲み込んだ。

あと、5秒。

…4

…3

…2

…1

針が、12を指した。

『卵は僕のものだぁぁあ!!!!どけぇ!!三十路共めがぁあ!!』

揉みくしゃにされながらも、僕とシカマルは戦場へと踏み込む。

『――っ!?ならまるっ!!12時の方向に壁を発見!!あれが邪魔で卵が見えんぞ!!』

鹿「壁?……馬鹿!!あれは人のケツだっつーの!!」

ピタッと立ち止まったシカマルは、周りを見渡しルートを探しているようだが、そんな時間はない。

『ん?そういえば…』

ふと、店長の言葉を思い出す。

確か、忍具や忍術の使用は禁止と言っていた。

『ははーん…』

しかし、体術の使用は禁止されていない。

僕は、壁に向かって飛び蹴りをかました。

壁は前のめりに倒れ、やっと卵が入っているケースを視界にとらえることができたが、それも一瞬のことで、またすぐに見えなくなってしまう。
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