忍夢と僕・2
□僕とならまるのお使い奮戦記
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『――っ!!キリがないな!!こうなったら、片っ端から蹴り飛ばしていくぞ!!ならまる、14時の方向に突撃だ!!』
「ったく!!めんどくせぇが、考えてる暇なんてねぇからな!!」
主婦よりも、我が母親の方が怖いのか。
反対すると思っていたが、僕の案にのってくれた。
ケツという名の壁をひたすら蹴り飛ばし、少しずつではあるが卵に近づいていく。
以外と簡単に進めたが、何かがおかしい。
あんなに殺気だっていたのに、何も攻撃をうけないのだ。
だが、よく周りを見てみれば、すぐに納得した。
『(僕達は主婦の視界に入っていないのか?)』
というのは、蹴られた相手は、隣や後ろにいる人がやったのだと勘違いし、喧嘩が始まってしまったのだ。
「ちょっと何すんのよ!!」
「それはこっちのセリフよ!!よくも蹴ってくれたわね!!」
僕とシカマルは、顔を見合わせニヤッと笑う。
『これぞまさしく作戦勝ちだろう!!』
鹿「あぁ!!俺達が犯人だと気づいていないみたいだからな!!……助かったぜυ」
そう言って、また人の間をスルスルと通り抜けていき、やっと卵のもとまでたどり着く。
『よし!!後は会計を…――っ!?…なっならまる、あれを見ろ……』
卵のパックを一つずつ手にし、レジの方向に体を向けると、僕は顔が引きつるような光景を見てしまった。
鹿「…おいおいυ冗談じゃねぇぜ、ったくよぉ…」
レジの周りでは、卵を取った人から、それを奪い取ろうとしている女達の姿があったのだ。
醜く、あまりにも恐ろしいその光景に、僕とシカマルは後退りする。
『あれじゃぁ、会計するのも命懸けじゃないか!!』
鹿「でも、金払わなきゃ泥棒だからな…。めんどくせぇが、行くしかねぇ!!」
そうだ。ここまで来て、命が惜しいなどと言えるものか。
ヨシノさんが待っているのだ。
僕とシカマルは、第二の戦場に向かって走り出した。
『いざ、尋常に勝負!!』
僕の声に振り返った女は、手の中にある卵に向かって突進してくる。
これじゃあ、まるで猪だ。
「それをこっちによこしなぁ!!糞餓鬼がぁ!!」
『三十路は黙って早寝せんかい!!このくそばばぁ!!』
シカマルの顔が若干ひきつっているが、今はそれに構っている暇はない。
目の前の三十路を倒さなければ。