忍夢と僕・2
□僕とシリーズ・サスケ視点・1
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狼神柚姫が来てから、2日目の日。
あいつは、ナルトと共に登校してきた。
教室に入ってくると同時に、急に静かになる。
「(…ナルトが和服?)」
いつもはオレンジの服なのに、着るものが変わるだけでこうも違う人物に見えるとは。
一瞬、誰だかわからなかった。
ナルトと狼神のもとにキバが近寄ると、キバはナルトの雰囲気が変わったと言い始めた。
俺からしたら、普段見せてなかった部分をさらけ出しただけに見えるのだが。
『…ナルトは前からこうだぞ?名は知らないが、お前何も知らないんだな』
「――っ!!なんだと!?昨日来たばっかの奴に何がわかるってんだよ!!」
『吠えるな、少年。僕達は5歳からの付き合いだ。お前よりはナルトを知っている』
「(あぁあ…、キレるだろうな…)」
狼神柚姫は、物事をはっきり言うタイプだということがわかった。
そのせいで、クラスの半分以上を敵に回したみたいだが、素のナルトを知っているからこその発言だったのだろう。
キバの言うことも最もだが、俺は内心歓喜で満ち溢れている。
狼神には礼を言わなければならないだろう。
いつもの口癖や、雰囲気は確かになくなってしまったかもしれない。
だが、これがナルトだ。
なぜ?と聞かれれば言葉に困るが、妙にシックリくる。
今のナルトは好きだ。
本当の「うずまきナルト」を見ることができた俺は、高まる心臓を落ち着かせるのに必死だった。
イルカが教室に来てから、キバはやっと静かになり、外での授業だと聞いた俺は、さっさと準備をすませ足早に演習場へと向かう。
「(くそっ!!顔がニヤける…)」
この顔は、誰にも見せられない。
演習場に集合すると、イルカが組み合わせを告げる前に、狼神は俺を指名してきた。
『うちはとはどいつだ?』
「俺だ…」
まさか話しかけられると思っていなかった俺は、狼神の目を見た瞬間に背筋が氷つく。
「(なんだ…、こいつ…)」
睨まれているわけでもなく、殺気を放たれているわけでもない。
それなのに、こいつを怖いと思ったのだ。
「(――っ、動け!!)」
金縛りにあったかのように、俺の体は言うことを聞いてくれない。
動けるようになったのは、狼神が口を開いてしばらくしてからだった。