忍夢と僕・2
□僕と鬼人の第一歩
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諦めた火影が、よりによってカカシを呼んだときは少し殺意が沸いたが、いやらしい目付きのカカシに対して怒鳴る気力も起こらない。
『…久しぶりの再会で挨拶を交わしたいところだが、その広げている両手を引っ込めてくれないか?今は、一刻も早く帰って寝たいんだ。一応、病み上がりなのでな…』
案「…一目見れたことだし、今日は我慢するよ。じゃあ、帰ろっか」
素直なのが少し怖いが、今は有り難い。
いつもなら、絶対に嫌がる奴の手をギュッと握りしめ瞬身に備えた。
案「…大丈夫だよ、ナルトは。まっ、火影様も着いているし心配ないでしょ」
『…そうだな』
それから、家に着きすぐにベッドにダイブした僕は頭を悩ます。
うちは一族が赤い眼を持っているとは、どういうことなのだろうか。
サスケに聞けば早いのだろうが、なんて聞けばいい?
『…人づてに聞いたんだけどさ』
いいや、無理だ。僕が知り合いとしか口を利かないことを、あいつは知っている。
『…噂で耳にしたんだが』
これも無理だ。悲惨な事件のことを、誰が口にするというのだ。
『…お前、赤い眼持ってる?』
僕は馬鹿か。それこそ、なんで?となるだろう。サスケは勘が鋭い。ストレートすぎるのもダメだ。
それに、聞いたところでだ。一族はサスケと兄以外皆、この世にいないのだ。
妖狐に幻術をかけた奴も、サスケの兄に殺されている可能性がある。
『…痛い目にあわせようと思っていたが、死んでいては何もできないし、何も聞けないじゃないか。…死人に口なしとは、まさにこのことだな』
赤い眼の男を木の葉中引きずり回してやろうと思っていたのに、何もできないなんて。
羅月に話したいのだが、2週間休むことなく力を注いでいたせいで今は眠っている。
『…こんな時に、鬼人の奴はどこをうろついているんだ!!』
ヤケクソになり、壁に枕を投げつけた。
ナルトは入院、サスケとシカマルは謹慎処分中、しかも赤い眼の男はうちは一族で、僕は病み上がり。
やってられない。
『呼んだら来い!!馬鹿者!!』
[久し……ぶっはぁ!!!!]
壁に投げたはずの枕は、突然現れた鬼人に当たり床に落ちてしまった。
『…きっ、鬼人?』
[地味に痛いぞ。…その様子だと、体調の方はもう大丈夫そうだな]
『おぉまぁえぇ…この馬鹿者!!今まで何をしていたんだ!!』
[すまん、つい夢中になってしまってなυ…まぁ、土産話になるかわからんが、聞いてほしいことがある]
そう言うと、何事もなかったかのようにベッドに腰かける。